「健康診断で血圧が高いと言われたけど、全然症状がないし大丈夫だろう」——そう思っていませんか? 産業保健師として健康診断のフォローアップをしていると、こういう方が本当にたくさんいらっしゃいます。

その感覚は自然なことです。でも、高血圧の患者さんの約90%は、自覚症状がほとんどないんです。症状がないからこそ「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれ、気づかないうちに脳・心臓・腎臓を少しずつ傷め続けます。

この記事では、高血圧で現れる可能性のある症状・危険なサイン・合併症・受診のタイミングをわかりやすく解説します。「どんな症状が出たら動けばいいのか」を知っておくだけで、対応が大きく変わります。

その頭痛・めまいは、血圧のせいか——先に切り分ける

この記事にたどり着いた方の多くは、「頭が痛い」「ふらつく」「肩がこる」といった不調があって、それが血圧のせいなのかを知りたいのだと思います。先に結論をお伝えします。

その症状の大半は、血圧が原因ではありません。高血圧はほとんどの場合まったくの無症状で、症状が出るのは血圧が相当高いときか、すでに臓器が傷んだあとに限られます。にもかかわらず「血圧のせいだ」と考えてしまうのは、健診で指摘された記憶と、たまたま出ている不調が結びつくためです。

まずは、いま出ている症状がどこに当てはまるかを確認してください。

いまの状態考えられることどうするか
症状があり、測ると180/120以上高血圧緊急症の可能性救急要請。様子を見ない危険なサイン
症状があり、160〜179血圧が関与している可能性はある数日以内に内科を受診。自己判断で薬を足さない
症状があるが、測ると140未満別の原因(緊張型頭痛・肩こり・睡眠不足・貧血など)血圧以外を疑う。症状ごとに下の各項
降圧薬を飲んでいて、ふらつく薬が効きすぎている可能性自分でやめず、処方した医師に相談する
症状はないが、健診で指摘されたこれが最も多いパターン症状を探すより、家庭で測って数字を確かめる

この切り分けが必要なのは、方向を間違えると2つの逆向きの失敗が起きるからです。ひとつは、血圧のせいだと思い込んで本当の原因(頸肩のこり・睡眠不足・貧血・ときに脳の病気)を見逃すこと。もうひとつは逆に、症状がないから大丈夫だと考えて、無症状のまま進む血管の傷みを何年も放置することです。

症状の有無と、血圧の高さは、ほとんど連動していません。だからこそ、体の感覚ではなく数字で判断する必要があります。以下、なぜ症状が出ないのか、どの数字で何をすべきか、そしてどの症状なら本当に血圧を疑うべきかを順に見ていきます。

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれる理由

なぜ高血圧は症状が出にくいのでしょうか。血管が弾力性を保っているうちは、高い圧力がかかっても痛みや不快感を感じにくいためです。血管が傷んでいく過程は非常にゆっくりで、症状として出てくる頃には動脈硬化・臓器障害がかなり進んでいることが多いとされています。

日本高血圧学会の推計によると、日本人の高血圧患者は約4,300万人とされており、そのうち治療を受けている人は半数以下といわれています。「症状がないから大丈夫」と思って放置している方が、それだけ多いということです。あなたも、その一人になってほしくないと思います。

血圧の正常値と高血圧の診断基準

血圧の数値は「収縮期血圧(上の血圧)/拡張期血圧(下の血圧)」で表します。診断基準は以下のとおりです(日本高血圧学会ガイドライン2019)。

分類 収縮期血圧(上) 拡張期血圧(下)
正常血圧<120かつ <80
正常高値血圧120〜129かつ <80
高値血圧130〜139または 80〜89
Ⅰ度高血圧140〜159または 90〜99
Ⅱ度高血圧160〜179または 100〜109
Ⅲ度高血圧(重症)≧180または ≧110

出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

家庭血圧では「135/85mmHg以上」が高血圧の基準(病院での測定より5mmHg低い)です。

140、160、180——数字ごとに何が変わるのか

分類表を見ても「で、自分の数字はどのくらいまずいのか」は分かりません。ここが最も知りたいところだと思うので、数字ごとにやることがどう変わるかを整理します。

上の血圧位置づけやること
120未満正常年1回の健診で経過を見る
130〜139高値血圧(まだ高血圧ではない)ここから脳卒中リスクは上がり始める。減塩と体重から着手すれば薬なしで戻せる範囲
140〜159Ⅰ度高血圧まず家庭血圧を2週間。それでも高ければ受診。多くはここから生活習慣の改善で始める
160〜179Ⅱ度高血圧生活習慣だけで様子を見る段階ではない。早めに受診し、薬を含めて相談する
180以上Ⅲ度高血圧症状がなくても数日以内に受診。症状があれば救急(下記参照)

よく聞かれるのが「160を超えていたら、やばいのか」という質問です。答えは「その1回の数字ではやばくないが、その状態が続いているならやばい」です。血圧は1日の中で20〜30mmHgは平気で動きますし、緊張・寒さ・直前の階段・カフェイン・トイレを我慢している——このどれでも上がります。大事なのは「いちばん高かった値」ではなく「落ち着いた状態で測った値の平均」です。

ただし、これは180以上には当てはまりません。落ち着いた状態で測って180を超えているなら、それは測定条件の問題ではなく、体の側の問題です。症状がなくても数日以内に受診してください。

下の血圧が高い場合:上が正常でも下(拡張期)が90以上なら、それも高血圧です。40〜50代では上より先に下が上がってくるパターンが少なくありません。血管がまだ硬くなりきっていない年代に特徴的な形で、「上は正常だから大丈夫」と見逃されやすいところです。

高血圧で現れる可能性のある症状

基本的に無症状の高血圧ですが、血圧が非常に高い状態が続いたり、急激に上昇したりすると、体が変化のサインを出すことがあります。以下に挙げる症状に心当たりがあれば、一度血圧を測ってみてください。

頭痛(後頭部痛)

なお、後頭部の痛みが日常的に続いている場合は、血圧よりも首・肩の筋緊張が背景にあることのほうが多くみられます。見分け方は緊張型頭痛にまとめています。

高血圧で最も知られた症状が「後頭部がずきずきと痛む頭痛」です。特に朝起きたときに感じやすく、血圧が非常に高い状態(Ⅱ度以上)のときに起こりやすいとされています。

ただし、頭痛の多くは緊張型頭痛や偏頭痛によるもので、高血圧が原因とは限りません。「血圧が高いから頭痛がする」という思い込みも多く、実際の因果関係は個人差があります。頭痛があるから血圧が高い、ではなく、定期的な血圧測定で確認することが重要です。

めまい・ふらつき

高血圧による急激な血圧変動や、血圧降下薬の効きすぎ(低血圧)によって、めまい・ふらつきが起こることがあります。

特に注意が必要なのは「起立性低血圧」です。座っている状態から急に立ち上がったときに血圧が急落し、ふらつく症状で、高齢者や降圧薬を服用している方に多くみられます。

動悸・息切れ

長期間の高血圧が続くと、高い圧力に対抗するために心臓の筋肉が厚くなる「左室肥大」が起こります。これが進行すると心臓のポンプ機能が低下し、動悸・息切れ・疲労感として現れることがあります。

軽い運動でも息が切れる、横になると息苦しい(起座呼吸)などの症状は、心不全が進行しているサインの可能性があります。

鼻血・顔面紅潮

「血圧が高いと鼻血が出る」というイメージがありますが、一般的な鼻血は高血圧と直接の関係が薄いことがほとんどです。ただし血圧が200mmHgを超えるような非常に高い状態では、鼻粘膜の血管が破綻して鼻血が出ることがあります。

顔が赤い・ほてるという症状も高血圧の典型症状ではありませんが、飲酒・ストレスなどで血圧が一時的に急上昇したときに感じる人もいます。

肩こり・首のこり

「血圧が高いと肩がこる」というのは、健診の場でも本当によく出る話です。ただ、肩こりを高血圧の症状として説明できる仕組みは、実ははっきりしていません。むしろ因果が逆のことがあります——肩や首がこって痛みが続くと、交感神経が優位になって血圧が一時的に上がるのです。

見分け方は単純で、こりが強い日と弱い日で、血圧に差が出るかどうかです。差が出るなら、こりのほうが先です。デスクワークが長い、寝具が合っていない、寒い時期だけひどい——こうした条件と連動しているなら、血圧を下げても肩こりは変わりません。

疲れやすい・気力が出ない

この訴えは40〜50代男性で非常に多いものですが、高血圧そのものが疲労感を生むことはまずありません。血圧が高いだけで体がだるくなるなら、それは高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれなかったはずです。

疲れやすさが続いている場合に、まず外しておきたいのは次のものです。

  • 睡眠時無呼吸症候群:高血圧の方に高い割合で合併します。いびきを指摘される、日中に強い眠気がある場合は該当を疑います(睡眠時無呼吸症候群
  • 貧血・甲状腺機能の低下:いずれも血液検査で分かります
  • 降圧薬の影響:薬を始めてから出てきた場合は、薬の種類の問題であることがあります
  • 男性ホルモンの低下:意欲の低下が前面に出るのが特徴です(男性更年期

とくに睡眠時無呼吸は重要です。治療しにくい高血圧の背景に無呼吸が隠れていることがあり、この場合は減塩や運動をどれだけ頑張っても血圧が動きません。いびきを指摘されたことがあるなら、血圧の相談の際に必ず伝えてください。

今すぐ救急へ|高血圧緊急症のサイン

⚠️ 以下の症状は「高血圧緊急症」の可能性があります。すぐに119番へ電話してください。

  • 突然の激しい頭痛(「人生最悪の頭痛」と感じるほど)
  • 片側の手足・顔の麻痺・しびれ
  • 言葉が出ない・ろれつが回らない
  • 視野が欠ける・ものが二重に見える
  • 激しい胸痛・背中の引き裂かれるような痛み(大動脈解離の可能性)
  • 意識が朦朧とする・けいれん

高血圧緊急症とは、血圧が急激に上昇して臓器(脳・心臓・腎臓・目)に急性の障害が生じている状態です。血圧が180/120mmHgを超えているうえに上記の症状がある場合は、絶対に様子を見ずに即座に救急要請してください。

オフィスの机に座り後頭部を押さえて疲労した表情をしている40代日本人男性の写真
後頭部の圧迫感・頭痛は高血圧が重症化したときに現れうる症状のひとつ

高血圧が引き起こす合併症

高血圧が長期間続くと、血管壁への持続的なダメージにより動脈硬化が進行し、全身の臓器に合併症が生じます。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)

高血圧は脳卒中の最大のリスク因子です。血圧が10mmHg高いと、脳卒中リスクが約30〜40%上昇するとされています。

  • 脳出血:高血圧で脆くなった脳の細い血管が破れる。高血圧との関連が特に強い
  • ラクナ梗塞:脳の細い血管(穿通枝)が詰まる小さな脳梗塞。高血圧で起こりやすい
  • アテローム血栓性脳梗塞:動脈硬化により大きな血管が詰まる

心筋梗塞・心不全

高血圧による動脈硬化は冠動脈にも起こり、心筋梗塞のリスクを高めます。また前述の左室肥大が進行すると、最終的に心不全へと移行します。

高血圧と糖尿病・脂質異常症・喫煙が重なると、心血管イベントのリスクは相乗的に高まります。

慢性腎臓病

腎臓は無数の毛細血管でできた臓器です。高血圧による持続的な血管ダメージは腎機能を徐々に低下させ、慢性腎臓病(CKD)を引き起こします。

逆に、腎機能が低下するとナトリウムや水分を排泄する能力が落ちて血圧がさらに上がる——という悪循環に陥ります。慢性腎臓病の進行は血液透析が必要な腎不全へのリスクもあります。

自宅の椅子に座り上腕式血圧計で正しく血圧を測定している40代日本人男性の写真
正しい血圧測定:椅子に深く座り、上腕カフを心臓の高さに合わせる

症状が出る前に見つけるには、何を見ればいいのか

ここまでで、症状を目印にはできないことがはっきりしたと思います。では、症状の代わりに何を見ればいいのか。実は、あなたが毎年受けている健診の中に、すでにその材料は入っています。

健診の項目何が分かるか注意する値
心電図心臓の筋肉が厚くなっていないか(左室肥大)「左室高電位」「ST-T変化」などの所見
尿蛋白腎臓の細い血管が傷み始めていないか±(プラスマイナス)が続く時点で要注意
クレアチニン・eGFR腎臓の処理能力が落ちていないかeGFR 60未満
眼底検査細い血管の状態を直接目で見られる唯一の検査「動脈の狭細化」「交叉現象」の所見

この4つは、症状より何年も早く動きます。とくに尿蛋白は見逃されやすい項目です。「±だから様子見」と言われることが多いのですが、高血圧がある人の±は、血管の傷みが腎臓に届き始めたサインとして扱う価値があります。尿蛋白が出たときの意味で詳しく整理しています。

もうひとつ、健診の結果を1年分ではなく5年分並べることをおすすめします。血圧が130台から140台へ、5年かけてゆっくり上がっている——この形は、単年の結果を見ていても絶対に見えません。会社の健診なら過去分が保管されていることが多いので、健康管理部門に問い合わせてみてください。

「血圧は年齢とともに上がるものだから仕方ない」と言われることがありますが、これは正確ではありません。年齢とともに上がりやすいのは事実でも、上がった血圧が血管を傷めることに変わりはなく、年齢を理由に放置してよいという意味にはなりません。40代・50代の10年間で何mmHg上がったかは、その先20年の脳卒中リスクに直結します。

測る・下げる・薬——次にどれを読むか

症状の切り分けが済んだら、次にやることは人によって変わります。高血圧は、扱うテーマが「測り方」「下げ方」「薬」の3つに分かれていて、いま自分がどこにいるかで読むべきものが違うからです。

いまの状況次にやること詳しい記事
健診で1回引っかかっただけまず家庭で測って、本当に高いのかを確かめる家庭血圧の正しい測り方
病院では高いが、家では正常白衣高血圧かどうかを判定する白衣高血圧・仮面高血圧の違い
朝だけ高い/起きてすぐが高い早朝高血圧として別に評価する早朝高血圧・モーニングサージ
家庭血圧も135/85以上が続いている生活習慣を具体的に変える高血圧を下げる方法高血圧の食事
すでに薬を飲んでいる・すすめられたやめられるのか、副作用は何かを知る降圧剤は一生やめられない?

順番として大事なのは、「下げ方」より先に「測り方」だということです。健診の数値は1年に1回、しかも慣れない環境で測った1点にすぎません。家庭で朝晩測ってみたら実は基準内だった、という方も、逆に健診では正常なのに家では高かった(仮面高血圧)という方も、どちらも一定数います。手元に2週間分の数字がないまま減塩や運動を始めても、効いたかどうかを確かめる方法がありません。

血圧計を持っていない場合、上腕式のものが数千円から手に入ります。手首式は姿勢の影響を受けやすく数値が安定しないため、これから買うなら上腕式を選んでください。

木製テーブルに並んだ減塩和食の健康的な食事(焼き魚・みそ汁・玄米・豆腐サラダ・蒸し野菜)の写真
下げ方の具体策は食事から。ただし、まず2週間分の家庭血圧を取ってからのほうが効果を確認できる

症状チェックリスト|受診のタイミング

今すぐ119番(救急)

  • 突然の激しい頭痛・視野障害・言語障害・手足の麻痺(脳卒中の可能性)
  • 胸・背中の激しい痛み(心筋梗塞・大動脈解離の可能性)
  • 意識障害・けいれん

近いうちに受診(数日以内)

  • 家庭血圧が135/85mmHg以上を繰り返している
  • 健康診断で高血圧を指摘されたが受診していない
  • 後頭部の頭痛・動悸・息切れが続く
  • 降圧薬を服用しているが最近血圧のコントロールが悪い

受診先は内科・循環器内科が適切です。

よくある質問(FAQ)

Q 血圧が高いと頭が痛くなるのは本当ですか?

A.血圧と頭痛の因果関係は一般に思われているほど明確ではありません。軽度〜中等度の高血圧では頭痛はほとんど起こりません。ただし180mmHg以上の重篤な高血圧状態では後頭部痛が現れることがあります。頭痛が続く場合は血圧の問題だけでなく、緊張型頭痛・偏頭痛・脳の病気も考える必要があるため、医師に相談してください。

Q 血圧は1回だけ高くても高血圧ですか?

A.1回の測定だけで高血圧と診断することはありません。血圧は時間帯・緊張・運動・体調によって変動します。異なる日・異なる時間帯に複数回測定して、継続して高値であることを確認してから診断されます。自宅での家庭血圧の記録が診断の参考になります。

Q 降圧薬を飲み始めたら一生やめられませんか?

A.必ずしも一生服用するわけではありません。減塩・減量・運動などの生活習慣改善で血圧が目標値まで安定的に下がれば、医師の判断で減量・中止になることもあります。ただし自己判断でやめると血圧が跳ね上がり危険です。必ず医師に相談してください。

Q 血圧が160を超えていました。やばいですか?

A.その1回の数字だけでは判断できません。血圧は緊張・寒さ・直前の階段・カフェイン・トイレを我慢している——このどれでも20〜30mmHgは動きます。まずは朝晩、落ち着いた状態で2週間測って平均を出してください。それでも160前後が続くなら、生活習慣だけで様子を見る段階ではないので、内科を受診して薬を含めて相談することになります。なお180を超えている場合は、条件の問題ではなく体の側の問題です。症状がなくても数日以内に受診してください。

Q 血圧が高い日と低い日の差が大きいのですが、問題ですか?

A.日によって多少ばらつくのは正常です。ただし変動の幅が大きいこと自体が、平均値とは別に血管への負担になることが分かってきています。とくに冬に上がり夏に下がるパターン、朝だけ極端に高いパターンは、そのままにせず医師に伝えたほうがよい所見です。記録するときは1回の値ではなく、朝2回・夜2回のように複数回測って並べておくと、変動の幅まで見てもらえます。

Q 上は正常なのに下だけ高いと言われました。心配ないですか?

A.下(拡張期)が90以上なら、上が正常でもそれは高血圧です。40〜50代では、上より先に下が上がってくるパターンがむしろ典型的で、血管がまだ硬くなりきっていない年代に特徴的な形です。「上は大丈夫だから」と見逃されやすいのですが、この段階で対処できると、その後の経過が変わります。塩分・体重・飲酒量の見直しが効きやすいタイプでもあります。

まとめ

高血圧でいちばん厄介なのは、体の感覚が当てにならないことです。頭が痛いから血圧が高い、調子がいいから血圧は正常——このどちらも、実際にはほとんど当たりません。症状を目印にすると、必ず判断を間違えます。

やることは2つだけです。ひとつは、いま出ている症状を血圧のせいにする前に、測って切り分けること。140未満なのに症状があるなら、原因は別のところにあります。もうひとつは、症状がなくても数字を持っておくこと。家庭で朝晩2週間測れば、健診の1点よりはるかに正確な現在地が分かります。

血圧計は数千円で手に入りますし、測るのに1分もかかりません。この記事で最も実行してほしいのは、そこです。

この記事のポイント

  • 頭痛・めまい・肩こりの大半は血圧のせいではない。140未満なら別の原因を疑う
  • 高血圧の約90%は自覚症状がなく、症状が出る頃には臓器の傷みが進んでいる
  • 数字の意味:130台からリスクは上がり始め、160以上は生活習慣だけで様子を見る段階ではない
  • 1回の高値では判断しない。落ち着いた状態で測った2週間分の平均で見る
  • ただし180以上は例外。症状がなくても数日以内に受診する
  • 突然の激しい頭痛・麻痺・胸背部痛は高血圧緊急症のサイン。すぐ救急要請
  • 上が正常でも下が90以上なら高血圧。40〜50代では下から上がるパターンが多い
  • 症状の代わりに見るのは心電図・尿蛋白・eGFR・眼底。症状より何年も早く動く