夜中の同じ時刻に、片方の目の奥をえぐられるような痛みで目が覚める。じっとしていられず、部屋の中を歩き回る。1時間ほどでうそのように引いて、翌日また同じ時刻に来る——40代、50代の男性で、これを何年も「ひどい偏頭痛」だと思って過ごしている方がいます。

群発頭痛(ぐんぱつずつう)という頭痛があります。20〜40代の男性に強く偏って起こるのが特徴で、頭痛の中では珍しい部類に入ります。ただし珍しいがゆえに、正しい名前にたどり着くまでに何年もかかることが少なくありません。

診断が遅れる理由ははっきりしています。「頭が痛い」と説明してしまうからです。この頭痛の本体は頭ではなく片方の目の奥にあり、しかも涙や鼻水をともなうため、目の病気や鼻の病気として扱われて回り道をすることがあります。

この記事では、まず「痛いあいだ、じっとしていられるか」を確認してもらいます。この一問で、群発頭痛は他の頭痛とはっきり分かれます。偏頭痛は動くと悪化するので、暗い部屋でじっと横になります。緊張型頭痛は動くとむしろ楽になります。群発頭痛は、痛くてじっとしていられません。

そのうえで、群発期という考え方、絶対に避けるべきこと、そして受診で何を伝えれば話が早いかまで整理します。

まず、この3つだけ確認してください

いちばんひどかったときのことを思い出しながら、次の3つに答えてください。

1つめ:痛いあいだ、じっとしていられましたか。横になって静かにしていられたのか、じっとしていられずに動き回った・頭を壁に押しつけた・うろうろしたのか。ここが最大の分かれ目です。

2つめ:痛むのはいつも同じ側の、目の奥ですか。頭全体でも、こめかみの両側でもなく、片方の目の奥や上に集中していませんか。そしてその側は毎回同じではありませんか。

3つめ:痛む側の目や鼻に、何か起きていませんか。痛いほうの目から涙が出る、その側の鼻が詰まる・鼻水が出る、まぶたが下がる、目が充血する——痛くないほうには起きていない、という形になっていませんか。

1つめが、この記事でいちばん重要な質問です 頭痛のタイプは「痛みの言葉」ではなかなか分かれません。「ズキズキ」「締めつけられる」は人によって使い方が違うからです。ところが「動いたときにどうなるか」は、かなりはっきり分かれます。
偏頭痛は、動くと悪化します。だから暗い静かな部屋で横になろうとします。緊張型頭痛は、動くとむしろ楽になります。だから仕事を続けられてしまいます。そして群発頭痛は、痛みでじっとしていられません。座っていられず、立ち上がって歩き回る、体を揺らす、頭を押さえて壁に押しつける——こうした落ち着きのなさは、この頭痛に特徴的なものとして知られています。
先に確認:次のいずれかがあるときは、読み進める前に受診してください今までに経験したことのない、突然の激しい頭痛(数秒〜1分で最大になった)——救急要請を検討してください
・頭痛に手足の力が入らない・ろれつが回らない・顔の片側が動かないをともなう
38℃以上の発熱と、首を前に曲げにくい感じがある
物が二重に見える、視野が欠けている
50歳を過ぎてから初めて始まった頭痛のパターン
・頭痛が日ごとに強くなっている、朝がいちばんひどい

【逆引き表】3つの頭痛は「動いたときどうなるか」で分かれます

3つの答えを持ったまま、次の表を見てください。縦の分かれ目は「動いたときどうなるか」です。

タイプ 動いたときどうなるか どこが、どのくらい痛むか ほかの手がかり
群発頭痛 じっとしていられない。動き回る、体を揺らす 片方の目の奥。15分〜3時間で終わる 痛む側だけ涙・鼻づまり・まぶたの下垂。夜間や明け方の同じ時刻
偏頭痛(片頭痛) 動くと悪化する。暗い部屋で横になりたい 片側が多いが両側も。4時間〜3日 吐き気・光や音がつらい。ギザギザした光が見えることも
緊張型頭痛 動くと楽になる。仕事を続けられる 両側・後頭部・首すじ。数時間〜数日 締めつけられる感じ。肩こりをともなう
薬の飲みすぎによる頭痛 一定しない ほぼ毎日、朝から 鎮痛薬を月10日以上使っている

いちばん上の行に当てはまるなら、この記事を読み進めてください。2行目なら偏頭痛の記事、3行目なら緊張型頭痛の記事、4行目なら頭痛薬の記事が、それぞれの入口になります。

「両方に当てはまる気がする」という方へ 頭痛は1種類しか持てないわけではありません。偏頭痛と緊張型頭痛の両方を持っている方は珍しくありません。ただし群発頭痛だけは、他と混同しにくい特徴を持っています——「片側の目の奥」「15分〜3時間で終わる」「同じ側だけ涙や鼻水」「じっとしていられない」。この4つがそろうなら、それは他の頭痛では説明がつきません。

群発頭痛の正体——痛みは頭ではなく「片目の奥」から来ます

この頭痛が誤解されやすいのは、本人が「頭痛」として説明してしまうところにあります。実際に痛むのは片方の目の奥、あるいは目の上で、そこから同じ側のこめかみや頬に広がります。

痛みの性質も、他の頭痛と違います。ズキズキと脈打つ偏頭痛とも、締めつけられる緊張型頭痛とも異なり、「えぐられる」「錐(きり)で刺される」「目玉を押し出される」といった言葉で表現されることが多くなります。

そして時間の長さが決定的な手がかりです。治療をしない場合、1回の発作はおおむね15分から3時間で終わります。偏頭痛が4時間から3日続くのとは、けたが違います。「ものすごく痛いが、数時間で完全に消える」——これがこの頭痛の形です。

起こる時間帯にも規則性があります。夜間や明け方、ほぼ同じ時刻に起こることが知られています。「毎晩2時頃に来る」「昼寝をすると必ず起きる」という訴えは、この頭痛を強く疑う材料になります。

明るいリビングで壁掛け時計を見上げている男性の後ろ姿
「目の病気」だと思って眼科に行く方がいます 痛みの場所が目の奥で、涙が出て、目が充血する——そこだけ見れば目の病気に見えます。実際に眼科を受診してから神経内科や脳神経外科にたどり着く方がいます。
これは遠回りではありますが、間違った行動ではありません。目の病気の中には急いで対応すべきものもあるためです。ただし眼科で「目に異常はない」と言われたなら、次は頭痛を診る科へ進んでください。そこで止まってしまうのがいちばんよくない結果です。

同じ側に出る4つのサイン

群発頭痛の診断で重視されるのが、痛む側にだけ現れる自律神経の症状です。次の4つを確認してください。ポイントは「痛いほうにだけ」出ることです。

  • ①涙が出る、目が充血する——泣いているわけではないのに、痛む側の目から涙が流れます
  • ②鼻が詰まる、鼻水が出る——痛む側だけ。風邪でも花粉症でもないのに、片側だけ詰まります
  • ③まぶたが下がる、目が小さくなる——痛む側のまぶたが重くなり、腫れぼったくなることもあります
  • ④額や顔に汗をかく——痛む側に限って汗が出ることがあります

これらは「痛みで泣いている」のとは違います。頭部の血管や神経に関わる働きが、痛みと同時に起きている反応です。だから片側にだけ出るのです。

受診したときに、この4つを言えるかどうかで話の進み方が変わります。「頭が痛い」だけでは、医師は多くの可能性を順に潰していかなければなりません。「右目の奥が痛くて、そのとき右目だけ涙が出て、右の鼻が詰まる」と言えれば、話は一気に絞られます。

「群発期」という考え方

この頭痛の名前の由来が、ここにあります。発作は年中起きるのではなく、ある時期に集中して群れるように起こります。

典型的な形はこうです。ある日から発作が始まり、1日に1〜数回、ほぼ同じ時刻に襲ってくる日々が1か月から2か月ほど続きます。そしてある日を境に、うそのように起こらなくなります。この「起こる時期」を群発期と呼びます。

その後は半年、1年、数年と何も起きません。そしてまたある時期に戻ってきます。季節の変わり目に始まる方が多いことも知られています。

群発期の始まりに気づけるか

偏頭痛には「予兆」と呼ばれる、発作の前に現れる変化が知られています。群発頭痛には、それにあたるものが明確な形ではありません。1回の発作は、多くの場合ほとんど前触れなく始まります。

ただし「群発期そのものの始まり」には、気づける手がかりがあります。経験を重ねた方が口にするのは、次のようなものです。

  • 本格的な発作の前に、痛む側の目の奥に「重い感じ」「違和感」が数日続く
  • いつもの側に、軽い痛みが一度だけ来て、その日は終わる——これが数日後に本番になる
  • 去年と同じ季節に入った——本人にとってはこれがいちばん確実な合図になります

ここに、記録をつける2つめの意味があります。過去の群発期が「何月に始まって何月に終わったか」を残しておけば、次の年、その時期が近づいた段階で医師に相談できます。群発期に入ってから受診するより、さらに一歩早く動けるということです。

1〜2か月で終わらない型もあります

ここまで「1〜2か月続いて、その後は長く消える」という形で説明してきました。これが典型的な経過ですが、当てはまらない方もいます。

発作の起こる期間がもっと長く続いたり、痛みのない時期がごく短かったりする型が知られています。「1〜2か月と書いてあったのに、自分は3か月以上続いた」——それでこの病気が否定されるわけではありません。

大事なのは期間の長さではなく、発作の形です。片方の目の奥、15分〜3時間、痛む側だけの涙や鼻づまり、じっとしていられないこと。この形が当てはまるなら、期間が典型と違っても受診してください。むしろ期間が長い型のほうが、治療を使える意味は大きくなります。

この「消える」という性質が、診断を遅らせる最大の原因です。ひどい痛みに耐えながら「病院に行こう」と思っているうちに群発期が終わり、痛みが消える。すると受診の動機も消えてしまいます。そして1年後にまた同じことを繰り返す——これを何年も続けている方がいます。

だからこそ、群発期のうちに受診してください 症状が出ているあいだのほうが、診断に必要な情報がそろいます。いま何時に起きているか、何分続いたか、涙や鼻づまりがどう出たか——記憶が新しいうちに伝えられます。
そして群発期にしか使えない治療があります。発作を止める治療も、発作を減らす予防の治療も、群発期のあいだに使ってこそ意味があります。痛みが消えてから受診すると、次の群発期まで何もできないまま待つことになります。「痛いうちに行く」——これがこの病気でいちばん大事な行動です。

なぜ40代男性に多いのか

群発頭痛は、男性に大きく偏って起こります。発症する年代も20代から40代が中心です。これは偏頭痛が女性に多いのとは正反対の分布で、頭痛の中では珍しい特徴です。

なぜそうなるのかは、まだ完全には分かっていません。脳の奥にある、体内時計をつかさどる領域の働きが関わっていると考えられています。発作が毎日ほぼ同じ時刻に起こること、そして群発期が季節の変わり目に始まりやすいこと——この2つが、体内時計との関わりを示す手がかりとされています。

はっきりしている関連因子もあります。

  • 喫煙——群発頭痛のある方には喫煙者・喫煙歴のある方が多いことが知られています。ただし禁煙すれば発作がなくなるとは限りません。それでも喫煙は他の多くのリスクに関わるので、禁煙の記事もご覧ください
  • 飲酒——群発期のあいだに限って、強い引き金になります。次の項で独立して扱います
  • 睡眠リズムの乱れ——発作が夜間や昼寝の最中に起こりやすいことから、睡眠との関わりが指摘されています
  • 気圧や高所——飛行機や標高の高い場所で誘発されることがあります

群発期に絶対に避けてほしいこと

群発期のあいだの飲酒です。ここだけは、はっきり書きます。

群発期にお酒を飲むと、数十分のうちに発作が誘発されることがあります。これは「飲みすぎると翌日つらい」という話ではなく、飲んだその日のうちに、かなり高い確率で起きるという現象です。

そして重要なのは、群発期でない時期には起こらないことです。同じ量を同じように飲んでも、発作の起きていない時期には何も起きません。この落差そのものが、群発頭痛を疑う手がかりになります。「去年の秋、酒を飲むと必ず頭が痛くなる時期があった」という記憶があるなら、それは重要な情報です。

「控えめにする」ではなく「群発期のあいだは断つ」 量を減らせば大丈夫、という性質のものではありません。群発期のあいだは、飲まないでください。期間は1〜2か月です。永久にやめる話ではありません。
付き合いがある方は、群発期に入った時点で「いま医者にかかっていて飲めない」と伝えてしまうのがいちばん簡単です。この頭痛の痛みを知っている方なら、飲んで発作を招くより、その一言のほうがはるかに楽だと分かるはずです。
なお群発期が終われば、飲酒で誘発されなくなります。その意味では期間限定の制限です。飲酒量の記事で、ふだんの適量についても整理しています。

飲酒のほかに、群発期のあいだ避けたほうがよいものが2つあります。1つは睡眠リズムを崩すこと——徹夜や極端な寝坊は発作の引き金になります。もう1つは昼寝です。昼寝の最中に発作が起こる方が少なくありません。

周囲に理解されにくい痛みです

この頭痛を持つ方が共通して抱えるのが、「分かってもらえない」という問題です。理由は3つあり、どれも本人のせいではありません。

1つめ、発作が数時間で完全に終わること。のたうち回っていた人が、2時間後には普通に食事をしています。見ている側からすると「大げさだったのでは」と映ります。

2つめ、夜間に起こること。家族が寝ているあいだに、ひとりで耐えていることが多くなります。いちばんひどい場面を、誰も見ていません。

3つめ、「頭痛」という言葉が軽すぎること。相手が思い浮かべるのは、自分が経験した頭痛です。「頭が痛い」と言った瞬間に、まったく別のものとして受け取られます。

伝えるときは、痛みの強さではなく「形」を伝えてください 「ものすごく痛い」は、どれだけ言葉を尽くしても伝わりません。痛みは比べられないからです。代わりに、この頭痛に特有の「形」を伝えてください。
「毎晩だいたい同じ時刻に来る」「片方の目の奥だけ」「1〜2時間で必ず終わる」「そのあいだは横になれない」「痛いほうの目から涙が出る」——これなら、相手は自分の頭痛と違うものだと理解できます。強さの主張は疑われますが、規則性の説明は納得されます。
そして受診することを伝えてください。「病院で診てもらう」の一言があると、相手の受け止め方が変わります。放置している人ではなく、対処している人として見られるからです。

職場についても同じです。群発期のあいだ夜の予定を避ける必要があるなら、「いま治療中で、しばらく飲めない」と一度言ってしまうのがいちばん簡単です。理由を細かく説明するより短く済み、繰り返し断る必要もなくなります。

発作が始まったときの対処

先に、いちばん大事なことを書きます。市販の痛み止めは、この頭痛にはほとんど間に合いません。

理由は時間です。飲み薬が体に吸収されて効き始めるまでには、通常30分から1時間かかります。ところが群発頭痛の発作は、始まってから15分ほどで痛みの頂点に達し、多くは1〜2時間で終わります。つまり薬が効き始める頃には、痛みのピークは過ぎているか、発作そのものが終わっています。

ここで起きがちなのが、量を増やすことです。効かないから2錠を3錠に、それでも効かないから毎日飲む——この道は、薬の飲みすぎによる別の頭痛につながります。月に10日以上鎮痛薬を使っている状態が続くと、頭痛そのものが増えることが知られています。詳しくは頭痛薬の記事で扱っています。

では、どうするか。答えははっきりしています。この頭痛には、速く効かせるための、まったく別の考え方の治療があります。

  • ①注射で使うタイプの薬——飲み込むのではなく皮下に注射する形の薬があります。飲み薬が抱えている「吸収に時間がかかる」という問題を回避するという考え方です。医師の指導のもと、自分で打てるようになる場合もあります
  • ②酸素を吸入する方法——高い濃度の酸素をマスクで吸う方法が、この頭痛に対して用いられます。薬ではないので、薬の飲みすぎによる頭痛の心配がありません。在宅で使えるようにする仕組みもあります
  • ③点鼻タイプの薬——鼻の粘膜から吸収させることで、飲み薬より速く働かせる形のものです

いずれも医師の診察と処方が必要です。裏を返せば、受診しない限り、この頭痛に対して有効な手段は手に入りません。市販薬で何年も耐えている方がいますが、それは使える道具を知らないまま我慢しているという状態です。

受診までのあいだ、その場でできること 治療にたどり着くまでのあいだ、少しでも楽に過ごすために知られている工夫があります。根本的な解決ではありませんが、何もしないよりは違います。
無理に横にならない。横になると悪化することがあります。座る、立つ、動くほうが楽なら、そうしてください
発作の記録をつける。何時に始まり、何分続いたか。これは次の項でも触れますが、受診時に最も役立つ情報です
群発期の飲酒をやめる。これは前項のとおりで、確実に発作の回数に関わります
睡眠の時刻を一定にする。崩すと引き金になります

病院でできること——止める治療と、起こさせない治療

この頭痛の治療は、2つの方向から組み立てられます。この構造を知っておくと、医師の説明が理解しやすくなります。

1つめは、起きてしまった発作を止める治療です。前項で挙げた注射・酸素・点鼻がこれにあたります。速さが命なので、飲み薬ではない形が選ばれます。

2つめは、群発期のあいだ、発作そのものを減らす治療です。こちらは毎日続けて使うもので、群発期に入ったら始めて、終わったらやめるという使い方をします。「発作が起きてから何とかする」だけでなく、「起きる回数を減らす」という選択肢がある——ここを知らずに耐えている方が多いところです。

どちらを、どう組み合わせるかは医師が判断します。ただし患者側が知っておくべきことが1つあります。それは「群発期は待ってくれない」ということです。群発期が1〜2か月で終わる以上、受診が遅れれば遅れるほど、治療を使える期間が短くなります。「もう少し様子を見よう」の代償が、他の頭痛より大きい病気です。

なお、この病気には公的な支援の枠組みが用意されている場合があります。診断がついた段階で、治療にかかる費用の負担について相談できることがあるので、受診時に確認してみてください。制度は変わることがあるため、詳しくは医療機関や自治体の窓口でご確認ください。

診断まで時間がかかる病気です——受診時に伝えるべき5つ

この病気は、正しい診断にたどり着くまでに時間がかかることが知られています。珍しい病気であること、群発期が終わると受診しなくなること、そして本人の説明が「頭が痛い」に収束してしまうこと——理由はこの3つです。

3つめは、患者側で変えられます。次の5つを伝えてください。順番も、このとおりで構いません。

  • ①痛むのは片方の目の奥で、いつも同じ側であること——「右目の奥です」と、指をさして言えるようにしておく
  • ②1回の発作が何分続くか——「30分」「1時間半」と、数字で。この長さが決定的な手がかりになります
  • ③起こる時刻——「毎晩2時ごろ」「寝入って2時間くらい」。時刻に規則性があるかどうか
  • ④痛む側だけに出る症状——涙、鼻づまり、まぶたの下がり、充血。「痛くないほうには出ない」と付け加えてください
  • ⑤痛いあいだ、じっとしていられるかどうか——「動き回ってしまう」「壁に頭を押しつけていた」
受診の前に、記録を1週間分つけてください 紙でもスマホのメモでも構いません。「日付/始まった時刻/終わった時刻/痛んだ側/涙や鼻づまりの有無/その日の飲酒」——この6項目だけです。
これがあると、初診の中身がまったく変わります。記憶で「だいたい夜中です」と答えるのと、1週間分の時刻が並んだ紙を出すのとでは、医師が組み立てられる仮説の精度が違います。そして飲酒の欄は、あなた自身にとっても意味を持ちます。飲んだ日と発作の関係が、自分の目で見えるからです。
明るい診察室で、発作の日時を書き留めたノートを医師に見せている男性を背後から見た様子

何科か——脳神経内科(神経内科)または脳神経外科です。頭痛を専門に診ている外来があれば、なお適しています。「頭痛外来」を掲げている医療機関を探すのが、いちばん近道です。

何をされるか——中心は問診です。上の5つが、そのまま聞かれます。そして他の原因を除外するために、頭部の画像検査(MRIなど)が行われることがあります。これは「脳に異常がないことを確かめる」ための手順で、群発頭痛そのものは画像には写りません。「異常なし」と言われても、それは診断が否定されたという意味ではありません。

様子を見てはいけない頭痛

すぐに受診すべきサイン今までに経験したことのない、突然の激しい頭痛(数秒〜1分で最大に達した)——救急要請を検討してください
手足の力が入らない・ろれつが回らない・顔の片側が動かないをともなう
38℃以上の発熱と、首を前に曲げにくい感じ
物が二重に見える、視野が欠ける、まぶたの下がりが頭痛のないときも続いている
50歳を過ぎてから初めてこのパターンの頭痛が始まった
・頭痛が日ごとに強くなる、朝がいちばんひどい、咳やいきみで悪化する
頭部を打った後から始まった

1つだけ補足します。群発頭痛では、発作のあいだにまぶたが下がることがあります。ですがそれは発作が終われば戻ります。もし痛みのないときも、まぶたの下がりや瞳の左右差が続いているなら、それは別に確認すべきものです。この違いは自分で気づけるので、鏡で確かめてみてください。

そして「50歳を過ぎてから初めて」という項目には理由があります。群発頭痛は20〜40代で始まることがほとんどです。50代以降で新しく始まった頭痛のパターンは、年齢そのものが確認すべき理由になります。この記事に当てはまる気がしても、その場合は必ず受診してください。

よくある質問(FAQ)

Q 何年も偏頭痛だと思っていました。いまさら受診しても意味はありますか?

A.あります。むしろ、いまがいちばん意味のあるタイミングです。この頭痛で長く苦労してきた方の多くは、「使える治療があることを知らないまま、市販薬で耐えてきた」という経過をたどっています。診断がつけば、発作を止める手段と、発作の回数を減らす手段の両方が選択肢に入ります。
そして受診のタイミングには条件が1つあります——群発期のあいだに行ってください。痛みが消えてから行くと、症状の確認ができず、治療も次の群発期まで待つことになります。「何年も我慢したのだから、もう少し」がいちばん損な判断です。

Q 市販の頭痛薬を増やせば、いつかは効きますか?

A.効きません。そして増やすことには別の代償があります。本文で書いたとおり、問題は薬の強さではなく速さです。飲み薬が吸収されるまでに30分〜1時間かかる一方、発作は15分ほどで頂点に達します。量を増やしても、この時間差は縮まりません。
そして鎮痛薬を月に10日以上使う状態が続くと、頭痛そのものが増えることが知られています。群発頭痛に耐えるために飲み続けた結果、群発期でない時期にも頭痛が出るようになる——という経過をたどることがあります。
やることは、量を増やすことではなく、種類を変えることです。そしてそれには受診が必要です。

Q 群発期のあいだ、仕事はどうすればいいですか?

A.この頭痛には、仕事の面では有利な性質が1つあります。発作が数時間で完全に終わることです。偏頭痛のように丸一日続いたり、翌日まで頭が働かなかったりということは、比較的少なくなります。発作が終われば、その日は普通に働けることがほとんどです。
問題は発作が夜間や明け方に集中するため、睡眠が削られることです。日中の眠気と疲労が積み重なります。
現実的な対応は3つです。①群発期に入ったら、その期間だけ夜の予定を減らす(飲み会は前項のとおり避ける必要があります)。②発作の時刻が読めるなら、その前後に重要な予定を入れない。治療を始める。発作の回数を減らす治療があるので、群発期の生活そのものが変わる可能性があります。

Q ストレスや疲れが原因ですか。休めば治りますか?

A.ストレスで起こる頭痛ではありません。ここは緊張型頭痛と大きく違うところです。緊張型頭痛は姿勢や緊張と密接に関わりますが、群発頭痛は脳の奥にある体内時計に関わる領域の働きが関係していると考えられており、休養で消える性質のものではありません。
ただし睡眠リズムは関係します。徹夜や極端な寝坊、時差、昼寝——これらは発作の引き金になり得ます。つまり「休む」より「時刻を一定にする」ほうが意味があります。
「気の持ちよう」「疲れているだけ」で片づけないでください。この頭痛は、生活を整えるだけでは対処しきれません。使える治療がある病気です。

Q 受診してMRIを撮り「異常なし」と言われました。では群発頭痛ではないのですか?

A.「異常なし」は、群発頭痛を否定する結果ではありません。ここは非常に多い行き違いです。
群発頭痛は画像に写る病気ではありません。頭部の画像検査は、「他に原因となる病気がないことを確かめる」ために行われます。つまり「異常なし」は、むしろ群発頭痛という診断に近づいた結果です。
この頭痛の診断は、症状のパターンで行われます。痛む場所、続く時間、起こる時刻、痛む側だけに出る涙や鼻づまり、そしてじっとしていられないこと——本文で挙げた5つを伝えることが、画像検査より重要です。
もし「異常なしなので様子を見ましょう」で終わってしまったなら、頭痛を専門に診ている外来をあらためて探してください。この病気には専用の治療があり、それを使えるかどうかで生活が変わります。

まとめ:じっとしていられないなら、それは他の頭痛では説明がつきません

頭痛は「痛みの言葉」では分かれません。ズキズキも、締めつけられるも、人によって使い方が違うからです。代わりに、動いたときにどうなるかを見てください。それだけで、3つの頭痛はかなりはっきり分かれます。

  • 切り分けるじっとしていられない=群発頭痛。動くと悪化=偏頭痛。動くと楽=緊張型
  • 確かめる片方の目の奥/15分〜3時間で終わる/痛む側だけ涙・鼻づまり/夜間の同じ時刻。4つそろえば他では説明がつかない
  • 断つ群発期のあいだの飲酒。数十分で発作を招く。量を減らすのではなく、その1〜2か月は飲まない
  • やめる市販薬の増量。効かない理由は強さではなく速さ。増やすと薬による頭痛を招く
  • 急ぐ受診は群発期のうちに。痛みが消えてから行くと、次の群発期まで何もできない

この記事でいちばん伝えたいのは、この頭痛には「耐える」以外の手段があるという一点です。何年も市販薬で耐えてきた方の多くは、痛みに弱かったわけでも、努力が足りなかったわけでもありません。単に、使える道具があることを知らなかっただけです。

そして道具を手に入れるには、痛みが消える前に受診する——それだけです。今夜また同じ時刻に来るのなら、明日の朝、頭痛外来を調べるところから始めてください。群発期は、あと数週間で閉じてしまいます。