足の指の先が、正座を崩したあとのようにジンジンする。靴下を履いているような感じが取れない。ペットボトルのふたが開けにくい——40代・50代でよくある相談です。
しびれは、体の中では「神経が傷んでいる」か「神経が圧迫されている」かのどちらかが起きているサインです。問題は、どこの神経かということ。脳・首・腰・手首・足先と候補が広く、そのうちひとつは分単位で急ぎます。
ただ、絞り込みは自分でできます。見るのは2つだけです。
- 左右対称ですか、片側だけですか
- 足の先から始まっていますか
両足の指先から左右対称にじわじわ来ているなら、糖尿病の神経障害がまず疑われます。片側だけで急に始まったなら、話はまったく別です。そこから始めます。
まず、救急で見るべきしびれ
いちばん最初に外すのは、脳です。
脳梗塞や脳出血は「倒れる」「意識がなくなる」というイメージがありますが、初期は片側のしびれだけということがあります。手がしびれる、口の周りがしびれる、という程度で始まり、しばらく様子を見ているうちに時間が過ぎる——これがいちばん避けたい経過です。
・顔の片側が下がる・口の端が片方だけ下がる
・ろれつが回らない・言葉が出てこない
・片方の腕に力が入らない(両手を前に上げると、片方だけ下がってくる)
・片目が見えない・ものが二重に見える
・強い頭痛、めまい、ふらついてまっすぐ歩けない
判断の軸は「片側だけ」と「急に」の2つです。数日かけてじわじわ、ではなく、「何時何分から」と言えるほど急なのが特徴です。
なお、脳の血管の問題は心臓の血管の問題と背景を共有します。胸の症状もある方は心筋梗塞の前兆もご確認ください。
ここに当てはまらなければ、落ち着いて絞り込んでいきます。
【3つの確認】どこが・いつから・左右対称か
受診しても最初に聞かれるのがこの3つです。答えを用意しておくだけで、絞り込みが進みます。
確認① どこがしびれますか
「手がしびれる」では情報になりません。指を1本ずつ確認してください。
- 足の指先だけか、足の裏全体か、足首より上まで来ているか
- 手なら、どの指か。親指・人差し指・中指なのか、小指も含むのか。ここで原因がはっきり分かれます
- 手のひら側か、甲側か
確認② いつから、どう始まりましたか
| 始まり方 | 示唆されるもの |
|---|---|
| 急に(何時何分から、と言える) | 脳・血管——急ぎます(詳細) |
| 数か月から数年かけて、じわじわ | 糖尿病の神経障害・栄養の不足(詳細) |
| 数週間から数か月で、だんだん強く | 神経の圧迫(手首・首・腰) |
| 特定の姿勢や動作のときだけ | 神経の圧迫。姿勢で再現できるかが手がかりです |
確認③ 左右対称ですか
この記事でいちばん重要な確認です。
理由はこうです。糖尿病のように血液を通じて全身に影響するものは、両側に同じように出ます。一方、神経がどこか1か所で押されているなら、その神経が支配する片側だけに出ます。
ひとりで確かめるなら、ティッシュを1枚ずつ左右の足の甲に置いて、感じ方が同じかを比べます。片方だけ「紙が乗っている感じが薄い」なら左右差ありです。
1回で判断せず、日を変えて2〜3回試してください。その日の体調で感じ方は変わります。
【逆引き表】しびれの出方で分かれます
ここが記事の中心です。迷ったらここに戻ってきてください。
| しびれの出方 | 考えられるもの |
|---|---|
| 片側だけ・急に/顔や言葉にも異常/片腕に力が入らない | 救急(119)——脳(詳細) |
| 両足の指先から左右対称に/数か月〜数年かけて/靴下を履いた感じ | 糖尿病の神経障害(詳細) |
| 片手だけ・親指〜中指/夜中や明け方に強い/振ると楽になる | 手首の中(手根管症候群)(詳細) |
| 上を向くと腕に響く/首から肩、腕、指へ広がる/片側 | 首の神経の出口(詳細) |
| 両手にしびれ+ボタンが留めにくい・箸が使いにくい・歩きにくい | 首の脊髄——急ぎます(詳細) |
| 腰痛を伴い、お尻から太ももの裏、ふくらはぎへ/片足 | 腰(詳細) |
| お酒をよく飲む/偏った食事/胃の手術を受けたことがある | 栄養の不足・アルコール(詳細) |
| 足先の冷え・歩くとふくらはぎが痛んで休むと治まる | 足の動脈の流れ。受診してください(詳細) |
両足の先から左右対称 → 糖尿病の神経障害
40代・50代で、両足の指先から左右対称にしびれが出てきた場合、まず考えるのが糖尿病の神経障害です。
神経障害は、糖尿病の合併症のなかで最も早く出るものとされています。目や腎臓の合併症より先に現れることが多く、「しびれで見つかる糖尿病」は珍しくありません。
特徴的な出方
- 両足の指先から始まる。片足だけではありません
- じわじわと、いつからか分からないほどゆっくり進みます
- 足の裏に紙が貼りついている、靴下を履いたままのような感じと表現されることが多いところです
- 夜間や安静時に強くなることがあります
- ジンジン、ピリピリ、砂利の上を歩いているよう、といった感覚
- 進むと、足首から上へ、そして手の指先へも広がります
「前はしびれて眠れなかったのに、最近は気にならない」——この変化は、必ず医師に伝えてください。
血糖値を指摘されたことがある方へ
神経障害は、糖尿病と診断されるずっと前、境界型の段階から始まっていることがあります。「まだ糖尿病ではないと言われた」から関係ない、とはなりません。
- 健診でHbA1cや空腹時血糖を指摘されたことがある
- 「予備群」「境界型」と言われた
- 数年前に指摘されたが、その後受診していない
当てはまる方は、境界型糖尿病とはとHbA1cを下げる方法をあわせてご覧ください。神経障害が出ている場合、それは「まだ大丈夫」の段階を越えているサインです。合併症全体の流れは糖尿病の合併症にまとめてあります。
しびれだけではありません——気づかれにくいもうひとつの神経障害
神経障害というと手足のしびれが知られていますが、傷むのは感覚の神経だけではありません。内臓や血管を自動で調節している神経——自律神経も同時に傷みます。
そしてこちらは、症状が「糖尿病と関係あるもの」に見えないため、まず結びつけてもらえません。次のような形で出ます。
| 出方 | 何が起きているか |
|---|---|
| 立ち上がるとふらつく・目の前が暗くなる | 血圧を調節する神経。転倒の原因になります |
| 便秘と下痢を繰り返す・食後に張る | 胃腸の動きを調節する神経 |
| 汗のかき方が変わった(足はかかないのに顔や上半身だけ大量に) | 発汗の神経 |
| 勃起しにくくなった | 血管と神経の両方。40〜50代男性では早期のサインになりえます |
| 尿が出にくい・残った感じがする | 膀胱の神経 |
| 動悸や息切れはあるのに、胸が痛まない | 痛みの神経。心筋梗塞が痛みなく進むことがあります |
「痛くないから大丈夫」が成り立ちません。急な息切れ、冷や汗、あごや腕の違和感、強いだるさ——痛み以外のサインで判断してください(心筋梗塞の前兆)。
勃起の変化については、「歳のせい」で片づけられがちですが、血管と神経の状態を映す指標でもあります。血糖値を指摘されている方はEDの原因と治療もあわせてご覧ください。受診しづらい話題ですが、内科で血糖の相談をするついでに伝えて構いません。
なぜ、足の指から始まるのか
ここを知っておくと、しびれの意味が変わります。
神経は、脳や脊髄から出て体の末端まで伸びています。足の指まで届く神経は、体の中で最も長い神経です。
神経も生きた組織なので、栄養と酸素を運ぶ細い血管に支えられています。血糖の高い状態が続くと、この細い血管が傷み、神経の先端まで栄養が届きにくくなります。結果として、いちばん遠い場所——足の指先から順に傷んでいきます。
だから、糖尿病の神経障害は次の順で進みます。
- 両足の指先
- 足の裏、足の甲
- 足首から、すねへ(靴下を履く範囲に広がるので「ソックス型」と呼ばれます)
- ここまで来ると、今度は手の指先が始まります(手袋型)
手のしびれが出てきたということは、足がかなり進んでいるということです。手から始まって足に来る、という順にはなりません。手が先にしびれているなら、それは糖尿病ではなく別の原因を考えます(手首や首)。
・足首より上まで——進んでいます。血糖の管理を本気で見直す段階
・手にも出ている——かなり進んでいます。足の状態も必ず確認してください
片手だけ・手首から先 → 手首の中
しびれが片手だけで、しかも手首から先に限られている場合、糖尿病とは別の原因を考えます。代表が手根管症候群です。
見分けるポイントは小指です。
- 親指・人差し指・中指がしびれ、小指はしびれない——手首の中で神経が押されている可能性
- 夜中や明け方に強く、目が覚める
- 手を振ると楽になる
- 親指の付け根の膨らみがやせてきた
詳しい確認方法と対処は手根管症候群にまとめてあります。小指がしびれないなら、まずそちらをご覧ください。
首を動かすと腕に響く → 首
しびれが首から肩、腕、指へと帯のように広がる場合、首の神経の出口が狭くなっている可能性があります。
- 上を向く、痛む側へ首を傾けると、腕に響く
- 片側だけ
- 首や肩甲骨のあたりの痛みを伴う
切り分けの方法は首が痛いときの見方に詳しくまとめてあります。
・両手がしびれる
・ボタンが留めにくい・箸が使いにくい・字が書きにくい
・階段を降りるときに足元が不安、つまずきやすい
・頻尿、尿が出にくいといった変化
痛みが強くないことも多く、そのぶん受診が遅れます。時間が経つほど戻りにくくなるので、早めに整形外科へ。
「両手のしびれ」は、糖尿病の神経障害でも首の脊髄でも起こります。見分けるポイントは足が先だったかどうかです。足の指先から始まって何年もかけて手に来たなら糖尿病、足に症状がないのに両手だけなら首を考えます。
腰痛を伴い、片足に走る → 腰
しびれがお尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先へと片側に走る場合、腰の神経が押されている可能性があります。腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症です。
- 腰痛を伴うことが多い
- 片足(両足のこともありますが、左右で強さが違うのが普通です)
- 前かがみ・後ろ反りなど、姿勢で変わる
- しばらく歩くとしびれて歩けなくなり、少し休むとまた歩ける(間欠跛行)
最後の「歩くと出て、休むと治まる」は特徴的です。ただし、これは足の動脈が細くなっている場合にも起こります(詳細)。背中や腰の症状については背中が痛いときの見方もあわせてご覧ください。
糖尿病でなくても起きるしびれ
血糖値に問題がなくても、左右対称のしびれは起こります。見落とされやすいものを挙げます。
ビタミンB12の不足
神経を保つために必要なビタミンです。不足すると糖尿病の神経障害とよく似た、左右対称のしびれが出ます。
- 胃の手術を受けたことがある——B12の吸収には胃が関わります
- 胃薬を長期間飲んでいる(胃酸を抑える薬)
- 肉・魚・卵・乳製品をほとんど摂らない食生活
- 糖尿病の薬メトホルミンを長く飲んでいる——吸収が下がることが知られています
血液検査で分かり、不足していれば補充で改善が期待できます。「調べてもらえますか」と伝えれば済む項目なので、心当たりのある方は必ず確認してください。
お酒
長期の多量飲酒は、それ自体が神経を傷めます。栄養の偏りも重なるため、しびれの原因として実際に多いものです。週にどれくらい飲んでいるか数字にしたことがない方は、純アルコール量の考え方で一度計算してみてください。
甲状腺の機能低下
しびれのほか、寒がり・体重増加・だるさ・むくみを伴います。これも血液検査で分かります。むくみが同時にある方は足がむくむときもご覧ください。
足の動脈が細くなっている
糖尿病・喫煙・高血圧・脂質異常症がある方で特に注意が必要です。
- 足先が冷たい、色が悪い
- 歩くとふくらはぎが痛くなり、休むと治まる
- 足の傷が治りにくい
神経の問題と血流の問題は、症状が似ていて、しかも重なります。どちらも足を守るうえで重要なので、区別は検査で行います。喫煙されている方は、これが最も直接的なリスク要因です(たばこが体に与えるダメージ)。
薬の影響
抗がん剤、一部の抗菌薬などでしびれが出ることがあります。薬を始めた時期と一致していないかを確認し、自己判断でやめずに処方元へ相談してください。
原因はひとつとは限りません
ここまで原因を並べてきましたが、実際には複数が重なっていることが少なくありません。40代・50代では、むしろそのほうが普通です。
- 糖尿病の神経障害+手根管症候群——神経がもともと弱っているところに圧迫が加わる。糖尿病があると手根管症候群も起こしやすくなります
- 糖尿病の神経障害+足の動脈の狭窄——喫煙している方に多い組み合わせ。足を守るうえで最も危ない重なりです
- 糖尿病+ビタミンB12不足——メトホルミンを長く飲んでいる方。糖尿病の薬そのものが不足を招く形です
- 糖尿病+多量飲酒——神経への影響が足し算になります
- 首の脊髄+糖尿病——どちらも両手にしびれを出すので、区別が難しい組み合わせです
だから「糖尿病だから神経障害だろう」で終わらせないことが大事です。血糖の管理を頑張っているのにしびれが強くなる、片側だけ明らかに違う、足が冷たい——こうした「説明のつかない部分」があれば、それは別の原因が重なっているサインかもしれません。そのまま医師に伝えてください。
足の血流(ABI)も、腕と足首の血圧を比べるだけで、痛みなくその場で分かります。受診1回でここまで進むので、「何か月も通うことになるのでは」と構える必要はありません。
神経障害は、元に戻るのか
いちばん聞かれることなので、正直に書きます。
早い段階なら、改善が期待できます。血糖の管理が安定すると、しびれが軽くなる方は実際にいます。一方で、長く続いて感覚が鈍くなるところまで進んだものは、元どおりにするのが難しくなります。
つまり、「気づいた時点で動いたかどうか」で結果が変わります。ここが、しびれを軽く見てはいけない理由です。
ここで「治療のせいで悪くなった」と考えて中断してしまうのが、いちばんもったいない展開です。症状が強まったら、やめる前に必ず主治医へ相談してください。
治療としては、血糖の管理が土台です。そのうえで、しびれや痛みが強い場合には神経の痛みに使う薬が検討されます。市販の痛み止めはこの種類のしびれにはあまり効きません。効かないからと量を増やすより、相談したほうが早く進みます。
進行を遅らせる4つ——血糖だけではありません
神経障害の対策は「血糖を下げること」だと思われがちですが、神経を養っているのは細い血管なので、血管を傷める要因すべてが効いてきます。優先度の高い順に4つ挙げます。
- 血糖の管理——土台です。ただし急激に下げず、時間をかけて安定させるのが要点です(急な改善で症状が一時的に強まることがあります)
- 禁煙——血糖の次に効きます。たばこは細い血管を直接収縮させ、神経への血流をさらに減らします。神経障害と足の動脈の問題の両方を悪化させる、いちばん明確な要因です(禁煙の方法)
- 血圧と脂質——どちらも血管を傷めます。血糖だけ見ていて、血圧やLDLが放置されている方は少なくありません(血圧を下げる方法/LDLを下げる方法)
- お酒を減らす——アルコール自体が神経を傷めるので、糖尿病の神経障害と足し算になります(純アルコール量)
逆に言えば、これらは健診で毎年測っている項目です。結果を捨てていなければ、数年分を並べるだけで、自分がどこを放置してきたかが見えます。
夜、しびれて眠れないとき
神経のしびれは夜間と安静時に強くなります。日中は仕事に紛れて気にならないのに、布団に入ると足の裏がジンジンして眠れない——という方が多くいます。
眠れないこと自体が、血糖の管理を悪くします。睡眠不足は血糖値を上げる方向に働くので、ここは放置しないほうがよいところです。
今夜できること
- 足を冷やしすぎない、温めすぎない。靴下を1枚履いて室温を保つのが現実的です。湯たんぽや電気毛布を足に当てるのは避けてください(低温やけどの危険があります)
- 寝る前の入浴で温める。ただし湯温は必ず手で確かめてください。足の感覚を基準にすると、熱すぎる湯に気づけません
- 布団の重みが足に当たらないようにする。敷布団の足元側にクッションを置いて掛け布団を持ち上げると、接触の刺激が減ります。これで楽になる方は少なくありません
- 寝る前の飲酒を避ける。アルコールは神経の症状を強めるうえ、睡眠も浅くします
- 足首をゆっくり回す、ふくらはぎを軽くさする——強く揉む必要はありません
「しびれくらいで薬をもらうのは大げさ」と考える必要はありません。眠れない状態が続けば血糖の管理も崩れるので、結果的に神経障害を進めます。眠れているかどうかは、伝えるべき情報です。
睡眠そのものが崩れている方は睡眠の質を上げる方法もあわせてご覧ください。
感覚が鈍くなったら、足を毎日見てください
この記事で最も実害に直結する項目です。
しびれが進んで感覚が鈍くなるということは、足にケガをしても気づけないということです。痛みは体を守るための警報なので、それが鳴らなくなります。
- 靴の中に小石が入っていても気づかない
- 靴ずれができていても痛くない
- 低温やけど——こたつ、湯たんぽ、カイロ、電気毛布で気づかないうちに
- 爪を切りすぎて傷になっても分からない
そして糖尿病がある場合、傷が治りにくく、感染も起こしやすくなります。小さな傷から始まって深くなり、対応が遅れると足を失うことにつながります。これは脅しではなく、防げるものです。防ぎ方は単純で、毎日見ることです。
・足の裏——見えにくいので、鏡を床に置くか、家族に見てもらう
・指と指のあいだ——蒸れて皮膚がふやけていないか
・傷、水ぶくれ、赤み、たこ、うおのめ
・爪の変色、巻き爪
・左右で色や温度が違わないか
・裸足で歩かない。室内でも靴下を履く
・暖房器具を足に直接当てない。低温やけどは、熱いと感じないまま深く進みます
・爪はまっすぐに切り、角を深く落としすぎない(巻き爪と、切りすぎによる傷を防ぎます)
・たこ・うおのめを自分で削らない。市販の除去薬も自己判断で使わないでください
・靴はきつすぎないものを、夕方に選ぶ(足がむくむ時間帯に合わせる)
どの傷なら、いつ受診するか
「小さくても受診」とだけ言われても判断できないので、線を引きます。基準は傷の大きさではなく、感覚が残っているかどうかと、周りの様子です。
| 足の状態 | いつ |
|---|---|
| 赤み・腫れが広がっている/熱を持つ/膿が出る/悪臭/発熱 | その日のうちに(感染しています) |
| 黒くなっている部分がある/傷が深い/骨や腱が見える | その日のうちに |
| 痛くないのに傷ができている(いつできたか分からない) | 数日以内に。感覚が鈍っている証拠なので、傷が小さくても |
| 水ぶくれ・靴ずれが1週間たっても治らない | 数日以内に |
| 小さな靴ずれで、痛みがあり、数日で治りつつある | 清潔にして経過を見て構いません。ただし毎日確認すること |
| たこ・うおのめが厚くなってきた | 次の受診時に。自分で削らないこと(下に傷ができます) |
3行目が要点です。「痛くないのに傷ができていた」は、傷そのものより気づけなかったことが問題です。同じことがまた起きます。そのときは足だけでなく、感覚の状態も一緒に診てもらってください。
そして「絆創膏で様子を見る」は、感覚が鈍っている足では通用しません。痛みという確認手段がない以上、目で見る以外に悪化を知る方法がないからです。
何科で、実際に何をされるか
どこへ行くか
| 状況 | 行き先 |
|---|---|
| 片側だけ・急に/顔や言葉にも異常 | 救急(119) |
| 両足の先から左右対称/血糖値を指摘されたことがある | 内科(糖尿病内科があればそちら) |
| 片手だけ・首を動かすと響く・腰痛を伴う | 整形外科 |
| 原因がまったく見当つかない | 内科。必要な科へ振り分けてもらえます |
検査
- 血液検査——血糖値・HbA1c、ビタミンB12、甲状腺、腎機能。1回の採血で、左右対称のしびれの主な原因がかなり絞れます
- アキレス腱反射——ハンマーで叩く簡単な検査です。神経障害では反応が弱くなります
- 振動覚の検査——音叉を足のくるぶしに当てて、振動を何秒感じるかを見ます
- モノフィラメント検査——細い糸で足の裏を押して、感じるかを確認します。痛くありません
- 神経伝導検査——神経を電気で刺激して伝わる速さを測ります
- 足の血流の検査(ABI)——腕と足首の血圧を比べます
最初の4つは、その日のうちに終わる簡単なものです。「大がかりな検査をされるのでは」と受診をためらう必要はありません。
受診前に、自分で確かめられること
病院の検査は道具が要りますが、家にあるもので近いことは確認できます。診断はできませんが、伝える材料にはなります。
② どこまで感じるか——足の指先から、足首、すねへと順に触っていき、「はっきり分かる」と「ぼんやりする」の境目がどこかを探します。この境目の高さが、そのまま進み具合の目安になります
③ 温度が分かるか——ぬるま湯と水を入れたコップを用意し、それぞれの外側に足の甲を当ててどちらが温かいか当てられるか。分からなければ、温度の感覚が鈍っています(=低温やけどの危険が高い状態です)
いずれも1回で判断せず、日を変えて2〜3回試してください。そのうえで「足の甲は分かるが、指先だけぼんやりする」「くるぶしから下が左右で違う」といった形で伝えると、診察が早く進みます。
③で温度が分からなかった方は、その日から暖房器具を足に当てるのをやめてください。検査結果を待つ必要はありません。
・左右対称か、片側か
・いつから、どう始まったか(急にか、じわじわか)
・1日のいつ強いか(夜間・安静時に強いか)
・健診で血糖値・HbA1cを指摘されたことがあるか。何年前か
・お酒の量、喫煙の有無
・飲んでいる薬すべて(お薬手帳を持参)
・足に傷やたこがないか
そして受診時は、靴下を脱ぎやすい格好で行ってください。足を見てもらうのが目的なので、ブーツや締めつけの強いタイツは避けたほうがスムーズです。「足を見てください」と自分から言って構いません。
よくある質問(FAQ)
Q 危険なしびれの見分け方を教えてください。
A.見るのは「片側か」と「急か」の2点です。①片側だけに急に起きた+顔の歪み・ろれつが回らない・片腕に力が入らない → その場で119番。②両手のしびれ+ボタンが留めにくい・歩きにくい → 脊髄の可能性で、痛みがなくても早めに受診。③両足の先から左右対称にじわじわ → 糖尿病の神経障害を考えて内科へ。判断の軸はしびれの強さではありません。強くなくても急ぐものがあり、強くても急がないものがあります。
Q しびれが脳梗塞の前兆かどうか、自分でチェックできますか?
A.目安になる確認が3つあります。①両手を前に上げて10秒保つ——片方だけ下がってくるか。②「今日はいい天気ですね」と声に出す——ろれつが回るか、言葉が出てくるか。③鏡の前で「イー」と歯を見せる——口の左右が同じ形か。ひとつでも当てはまれば119番です。ただしこれは「当てはまれば急ぐ」ための確認で、当てはまらなくても安心の材料にはなりません。片側に急に起きたしびれは、この3つが陰性でも受診してください。症状が消えても同じです。
Q 血糖値は指摘されていないのに、両足がしびれます。何が考えられますか?
A.よくあるのはビタミンB12の不足(胃の手術歴、胃薬の長期服用、偏った食事)、長期の多量飲酒、甲状腺の機能低下、足の動脈が細くなっているの4つです。いずれも血液検査や簡単な検査で確認できます。また、健診で正常でも、それが数年前なら現在の値は分かりません。境界型の段階から神経障害が始まることもあるので、直近で測っていなければ血糖値も一緒に調べてもらってください。
Q しびれに市販の痛み止めやビタミン剤は効きますか?
A.市販の痛み止め(ロキソプロフェンなど)は、神経が原因のしびれにはあまり効きません。効かないからと量を増やすと、胃や腎臓の負担だけが増えます。神経の痛みには別の系統の薬が使われるので、つらい場合は相談してください。ビタミンB12のサプリメントは、不足が確認されているなら意味がありますが、まず血液検査で確かめるのが順番です。不足していない人が飲んでも改善は期待できず、その間に原因の確認が遅れます。
Q しびれが軽くなってきました。良くなったということですか?
A.2つの可能性があるので、区別が必要です。血糖の管理を改善したあとで軽くなったなら、良い変化のことがあります。しかし何もしていないのに軽くなった場合は要注意です。しびれや痛みの時期を過ぎて感覚そのものが鈍くなると、症状は「楽になった」ように感じられます。見分け方は、足の裏の感覚が残っているかどうかです。ティッシュで触れて分かるか、風呂の湯温が分かるか。「しびれないが、感じない」なら進行しています。必ず医師に伝えてください。
Q 足が冷えるので、湯たんぽやこたつで温めても大丈夫ですか?
A.足に直接当てるのは避けてください。感覚が鈍くなっていると、熱さを感じないまま低温やけどを起こします。しかも糖尿病があると傷が治りにくいため、深く進んでから気づくことになります。温めたいときは、靴下を重ねる・部屋そのものを暖める・入浴で温まる、という方法にしてください。入浴のときも、湯温は手で確かめてから足を入れてください。足の感覚を基準にすると熱すぎる湯に気づけません。なお冷えが強い場合は、血流の問題が隠れていることもあるので受診をおすすめします。
まとめ:左右対称か、足の先から来ているか
しびれは原因が広く見えますが、絞り込みの入口は2つだけです。
- まず片側かどうか:片側だけに急に起きて、顔・言葉・腕の力に異常があれば119番。症状が消えても受診してください
- 両足の先から左右対称:糖尿病の神経障害。合併症のなかで最も早く出るもので、しびれで見つかる糖尿病は珍しくありません
- 広がる順番が判断材料:足の指→足首→すね→手。手にも出ているなら、足はかなり進んでいます
- 糖尿病以外もある:ビタミンB12の不足、多量飲酒、甲状腺、足の動脈。どれも血液検査や簡単な検査で確認できます
- 感覚が鈍ったら、毎日目で見る:痛みという警報が鳴らなくなります。靴の中の小石、低温やけど、靴ずれに気づけません
そして、「しびれが軽くなった」は必ずしも良い知らせではありません。何もしていないのに軽くなったなら、感覚そのものが鈍っている可能性があります。早い段階なら血糖の管理で改善が期待できる一方、進んでからでは戻りにくくなる——気づいた時点で動いたかどうかで結果が変わります。血糖値を指摘されたことがある方はHbA1cを下げる方法から、まだ指摘されていない方は糖尿病とはから確認してみてください。