耳が痛い。ズキズキするような、押されるような。熱はないし、かぜをひいた覚えもない——それでも痛みだけが続いている。
「耳が痛い」で調べると、出てくるのは中耳炎の説明ばかりです。ただ、それは主に子どもの話で、大人の耳の痛みは事情が違います。大人で多いのは、外耳炎と、そもそも耳が原因ではない痛みです。
切り分けは、いま指1本でできます。そこから始めます。
耳を引っ張ってみてください
痛むほうの耳たぶを持って、そっと後ろ上に引っ張ってください。あるいは、耳の穴の前にある小さな出っ張り(耳珠)を指で押してみてください。
そのとき、痛みがはっきり強くなりますか。それとも変わりませんか。
| A:引っ張ると痛みが強くなる | B:引っ張っても変わらない | |
|---|---|---|
| どこの問題か | 耳の入り口から鼓膜までの通り道(外耳) | 鼓膜の奥(中耳)、または耳以外 |
| 考えられるもの | 外耳炎。耳掃除やイヤホンがきっかけのことが多い | 中耳炎・気圧の影響・関連痛(顎・歯・のど) |
| 痛みの感じ | 触ると痛い。あごを動かすと響く。かゆみを伴うことも | 奥のほうがズキズキ・詰まった感じを伴う |
| きっかけ | 耳掃除・プール・イヤホン・汗 | かぜ・飛行機・歯の治療・かみしめ |
| 耳だれ | 出ることがある | 鼓膜が破れると出る |
これは耳鼻咽喉科で実際に使われている確かめ方です。外耳の皮膚に炎症があると、耳を動かすだけで痛みが走ります。一方、痛みの元が鼓膜の奥にあれば、外から引っ張っても届きません。
大人ではAが多く、次いで「耳自体は正常なのに痛い」タイプが続きます。子どもで最多の中耳炎は、大人では相対的に少なくなります。
・耳のまわりに水ぶくれが出ている、または顔の片側が動かしにくい・味が分かりにくい
・強い痛みで眠れない、痛みがどんどん悪化している
・耳のうしろが赤く腫れて、押すと痛い
・糖尿病があり、耳の痛みが強い
・血の混じった耳だれが出る/急に聞こえが落ちた
1つめは耳の帯状疱疹の可能性があり、早さで結果が変わります(帯状疱疹の見分け方)。4つめは、糖尿病があると外耳の感染が深いところへ広がることがあるためです。いずれも「様子を見る」が不利に働きます。
大人と子どもでは、原因の順番が逆になります
この記事の前提として、はっきりさせておきたいことがあります。
「耳が痛い」と検索して出てくる説明の多くは、子どもを想定しています。中耳炎の話が中心なのはそのためです。ところが大人では、原因の並び順が変わります。
| 多い順 | 子ども | 大人 |
|---|---|---|
| 1番目 | 急性中耳炎 | 外耳炎 |
| 2番目 | 滲出性中耳炎 | 関連痛(あご・歯・のど) |
| 3番目 | 外耳炎 | 中耳炎・気圧の影響 |
理由は体のつくりの違いにあります。
耳と鼻の奥は耳管という管でつながっていて、鼻の菌はここを通って耳へ届きます。子どもの耳管は短くて水平に近いため、菌が上がりやすい。成長するにつれて管は長くなり、傾斜がついて、上がりにくくなります。だから大人の中耳炎は相対的に減ります。
入れ替わりに増えるのが、耳掃除・イヤホンによる外耳炎と、かみしめ・歯・のどからの関連痛です。どちらも大人の生活習慣に結びついています。
子ども向けの説明を読んで「かぜもひいていないのに中耳炎はおかしい」と考え、受診をためらう方がいます。けれど大人なら、かぜをひいていなくても耳は痛くなります。耳掃除でも、かみしめでも、奥歯でも起こるからです。
「思い当たるきっかけがない」は、受診を先送りする理由になりません。
Aだったとき——外耳炎
耳の入り口から鼓膜までの通り道の皮膚に、炎症が起きている状態です。大人の耳の痛みで、いちばん多い原因です。
そして、成人の外耳炎の最大のきっかけは耳掃除です。
| きっかけ | 何が起きているか |
|---|---|
| ①耳掃除・綿棒 | 皮膚に小さな傷ができ、そこから細菌が入る。いちばん多い |
| ②かゆくて掻いた | かゆみ→掻く→傷→炎症→さらにかゆい、という循環に入る |
| ③イヤホン・耳栓 | 長時間ふさぐと湿気がこもり、菌が増えやすくなる |
| ④プール・海・シャワー | 水が残ったまま、皮膚がふやける |
| ⑤汗・湿度 | 夏場に増える理由 |
外耳炎の特徴は「触ると痛い」ことです。枕に耳が当たると痛い、あごを動かすと響く、マスクのひもが当たって痛い——こうした外からの刺激で痛みが変わるのが手がかりになります。
また、痛くなる前にかゆかったという順序も典型的です。かゆみの段階で掻いてしまい、そこから炎症に進む流れです。
綿棒で拭き取りたくなりますし、耳だれが出ていればなおさらです。しかしいじるほど傷が広がり、治りが遅くなります。
「奥に何かある気がする」という感覚も、炎症で腫れているために起こります。取ろうとしても何も出てきません。
治療は、耳の中を洗浄して、抗菌薬や炎症を抑える点耳薬を使うのが基本です。数日から1〜2週間で落ち着いていくことがほとんどです。
市販の点耳薬でどこまで対応できるかですが、正直に言えば範囲は限られます。市販薬にも消炎成分を含むものはありますが、細菌の感染が起きている場合、そこに届く成分が必要になります。2〜3日試して変わらない、あるいは痛みが強いなら、受診したほうが早く終わります。
耳がかゆいだけの段階でできること
痛みの前に、かゆみだけの時期があります。ここで止められれば、外耳炎まで進まずに済みます。
- 掻かない・綿棒を入れない:これがすべてです。かゆみの多くは、掻くこと自体が原因になっています
- 耳栓やイヤホンの時間を減らす:ふさぐ時間が長いほど湿気がこもります
- 入浴後は、耳の入り口をタオルで軽く押さえるだけ:奥まで拭かないこと
- かゆみが1週間以上続くなら受診:皮膚の炎症や、まれに真菌が関わっていることがあります
最後の項目について補足します。耳の中にもカビの仲間が増えることがあり(外耳道真菌症)、この場合はふつうの抗菌薬では変わりません。「薬をもらったのに、かゆみだけ続く」というときは、この可能性を伝えてみてください。
Bだったとき——鼓膜の奥、または気圧
引っ張っても変わらない場合、痛みの元は鼓膜の奥にあるか、そもそも耳ではないかのどちらかです。まず前者から扱います。
| 疑うもの | 手がかり |
|---|---|
| 急性中耳炎 | かぜ・鼻づまりのあとに始まる。ズキズキする痛み、詰まった感じ、熱が出ることも |
| 気圧性の中耳炎 | 飛行機の着陸後・トンネル・ダイビングのあとから続く。鼻が詰まっていると起こりやすい |
| 滲出性中耳炎 | 痛みは軽く、詰まった感じが主。大人で片側だけ続くときは鼻の奥の確認を |
| 鼓膜の傷 | 綿棒や耳かきを深く入れた直後から。急に聞こえが落ちる |
大人の中耳炎は、子どもほど多くありません。耳と鼻をつなぐ管が、大人では長く傾斜がついていて、鼻の菌が耳へ上がりにくいためです。ですから大人でくり返す中耳炎は、鼻の状態を確認する価値があります(鼻づまりの見分け方)。
2行目の気圧性については、予防のほうが確実です。鼻が詰まっているときの搭乗は条件として不利で、着陸時に眠ってしまうと、つばを飲む回数が減って圧の調整ができません。
この記事は「痛み」が主症状の場合を扱っています。
耳は正常なのに痛い——これが大人では多い
ここが、大人の耳の痛みでいちばん見落とされる部分です。
耳鼻咽喉科で診てもらって「耳はきれいですよ」と言われたのに、痛みは確かにある。——この場合、耳の近くにある別の場所の痛みが、耳に響いている可能性があります。関連痛と呼ばれます。
耳のまわりには多くの神経が集まっていて、あご・歯・のど・首の痛みが、耳の痛みとして感じられることがあります。
| 本当の原因 | 手がかり |
|---|---|
| 顎関節症 | 口を大きく開けると痛い・音が鳴る。かみしめや歯ぎしりの自覚。朝がつらい |
| 歯の問題 | 奥歯のあたりに違和感。冷たいものがしみる。親知らず |
| のどの炎症 | 飲み込むときに耳へ響く。扁桃炎では典型的 |
| 首・肩のこり | 首を動かすと痛みが変わる。デスクワークが続いた時期 |
| 神経の痛み | ピリッと走るような、短く鋭い痛みが繰り返す |
この年代でとくに多いのが1行目の顎関節症です。かみしめや歯ぎしりは、忙しい時期・緊張が続く時期に増えます。朝起きたときに耳のあたりが痛い、あごがだるい——この組み合わせなら、耳ではなくあごを疑ってください。
自分で確かめる方法があります。口をゆっくり大きく開けてみて、痛みが強くなるか。耳の前(あごの関節のあたり)を指で押して痛いか。どちらかが当てはまれば、あご側の可能性が高くなります。
片側の耳の痛みが数週間続いていて、耳を診てもらっても異常がなく、しかも喫煙と飲酒の習慣がある——この場合は、のどの奥まで見てもらってください。
のどの病変が、耳の痛みとして現れることがあるためです。頻度としてはまれですが、「耳は異常なし」で終わらせず、のどまで確認することに意味があります。声のかすれ・飲み込みにくさ・首のしこりを伴うなら、なおさらです。
痛み方でも、ある程度は絞れます
いつ、どんなふうに痛むか——ここにも手がかりがあります。
| 痛み方 | 示唆されるもの |
|---|---|
| 触る・引っ張ると痛い | 外耳炎 |
| 飲み込むときに耳へ響く | のどの炎症。扁桃炎では典型的 |
| 口を開けると痛い・朝がつらい | 顎関節症。かみしめ・歯ぎしり |
| ズキズキと脈打つように痛む・熱がある | 中耳炎など、炎症が強い状態 |
| ピリッと走る短い痛みが繰り返す | 神経に由来する痛み |
| 横になると強くなる | 圧迫・うっ血の関与 |
2行目と3行目は、自分で試して確かめられます。水を一口飲んでみて耳に響くか、口を大きく開けてみて痛みが変わるか——それぞれ数秒で分かります。
そして、これらは受診時に伝える言葉としてそのまま使えます。「耳が痛いです」だけより、「飲み込むと耳に響きます」「口を開けると痛みます」のほうが、診察の方向がはるかに速く決まります。
2週間以上続いているときに、見直すこと
短期でおさまらない場合、最初の見立てが合っていない可能性を考えます。順に確認してください。
| 確認すること | 合っていなかった場合 |
|---|---|
| ①耳をいじるのを本当にやめられているか | いちばん多い。無意識に綿棒を入れている方が実際にいます |
| ②かゆみだけ残っていないか | 細菌ではなく真菌(カビの仲間)が関わっていることがあり、薬の種類が変わります |
| ③口を開けたときに痛みが変わらないか | あご側が本体だった場合、耳の治療をいくら続けても変わりません |
| ④歯の治療を最近したか | 奥歯の処置のあとに耳の痛みが出ることがあります |
| ⑤持病と薬は伝えてあるか | 糖尿病があると経過が変わります |
②と③は、自分から言わないと確認されないことがあります。「痛みは軽くなったが、かゆみだけ残っている」「口を開けると響く」——これらは次に何を調べるかを変える情報なので、再診のときに必ず伝えてください。
そして、2週間を超えて片側の痛みが続いているなら、耳の中だけでなく、のどまで見てもらう価値があります。とくに喫煙と飲酒の習慣がある方は、そこまで確認しておくと安心できます。
今できる対処と、やってはいけないこと
受診までのあいだにできることを整理します。まず、やってはいけないほうから。
| やりがちなこと | なぜ避けるか |
|---|---|
| ①綿棒で拭く・耳かきを入れる | 最大の悪化要因。傷を広げ、耳垢を奥へ押し込む |
| ②耳に水を入れる・洗う | 皮膚がふやけて、菌が増えやすくなる。入浴時も入れない |
| ③イヤホンを使い続ける | ふさぐことで湿気がこもり、圧迫も刺激になる |
| ④残っていた点耳薬を使う | 鼓膜に穴があいている場合、使えない薬がある。自己判断で入れない |
| ⑤痛いほうを下にして寝る | 圧迫で痛みが増す |
④は見落とされがちです。点耳薬には、鼓膜が破れている状態では使わないほうがよいものがあります。以前もらった薬が残っていても、今回の状態に合うとはかぎりません。
そのうえで、やってよいことです。
- 冷やす:保冷剤をタオルで包んで、耳の外側に当てる。炎症による痛みは、冷やすと軽くなります
- 市販の痛み止め:いつも使っているもので構いません。我慢する意味はありません
- 痛くないほうを下にして横になる
- 耳に水を入れずに入浴:耳栓を使うか、シャワーの向きに注意する
- あごの痛みが疑わしいなら、硬いものを避ける:ガム・フランスパン・スルメをしばらくやめる
外耳炎など炎症による痛みは、冷やすと楽になります。一方、顎関節症やこりが背景にある痛みは、温めるほうが楽になることが多いです。
見分けは「触ると痛いか」。触って痛いなら冷やす、あごを動かすと痛いなら温める——この使い分けで、たいてい合います。
何科に行くか、何をされるか
耳鼻咽喉科です。ただし、あごや歯に心当たりがはっきりある場合は歯科という選択もあります。迷ったら耳鼻咽喉科で構いません——耳に異常がなければ、そこから次の科を案内してもらえます。
| 実際のところ | |
|---|---|
| 診察 | 耳の中を直接見る。その場で外耳炎か中耳炎かが分かる |
| 処置 | 耳の中を洗浄・清掃し、点耳薬を入れることも。その場で楽になることがある |
| 検査 | 必要に応じて聴力検査、鼓膜の動きを見る検査 |
| 費用 | 3割負担で、初診+処置+薬で2,000〜4,000円程度 |
| 通院 | 外耳炎なら数日おきに数回。洗浄を繰り返すことが治りを早める |
①耳を引っ張ると痛みが変わるか/②いつから、きっかけに心当たりがあるか(耳掃除・プール・かぜ・飛行機)/③口を開けると痛いか/④耳だれ・聞こえの変化があるか/⑤持病と飲んでいる薬(とくに糖尿病)
①と③は、この症状ではとくに価値の高い情報です。この2つで、耳の問題かあごの問題かがほぼ分かれます。
くり返す人が、次に変えること
外耳炎は、一度なると繰り返しやすいという性質があります。皮膚が敏感になり、かゆみが出やすくなるためです。
くり返している方に、順番に効く3つを挙げます。
| 優先度 | 変えること |
|---|---|
| ①最優先 | 耳掃除をやめる。耳垢は自然に外へ運ばれる。必要なのは入り口を軽く拭く程度 |
| ②次に | イヤホンの連続使用時間を減らす。1時間ごとに外す。カバーをこまめに拭く |
| ③あわせて | 入浴・水泳のあと、耳の入り口を軽く押さえて水分を取る |
①がすべてと言ってよいくらいです。耳垢はあごの動きに合わせて自然に外へ運ばれる仕組みになっていて、放っておけば出てきます。「掃除しないと詰まる」という心配は、多くの方には当てはまりません。
それでも気になる方へ。耳垢が実際に詰まっているかどうかは、耳鼻咽喉科で見てもらえば分かります。詰まっていれば数分で取ってもらえますし、詰まっていなければ「掃除しなくてよい」という確認が取れます。自分で掘るより、確実で安全です。
対策は単純で、会議と会議のあいだに外す・カナル型(耳栓型)ではなく耳を覆うタイプに変える——これだけで再発の頻度が変わることがあります。
よくある質問(FAQ)
Q 耳鼻科で「耳はきれいです」と言われましたが、痛みは続いています。
A.気のせいではありません。大人の耳の痛みでは、耳以外が原因のことがよくあります。耳のまわりには多くの神経が集まっていて、あご・歯・のど・首の痛みが耳へ響きます(関連痛)。
この年代でいちばん多いのは顎関節症です。確かめ方は2つ——①口を大きく開けると痛みが強くなるか、②耳の前を指で押すと痛いか。どちらかが当てはまれば、あご側の可能性が高くなります。かみしめや歯ぎしりの自覚、朝がつらいことも手がかりです。
次に多いのが歯で、とくに奥歯や親知らずです。「耳が痛い」と思っていたら虫歯だった、というのは珍しくありません。
「耳は異常なし」は行き止まりではなく、次にどこを見るかが決まったということです。
Q 耳掃除をしたあとから痛くなりました。放っておいてよいですか?
A.軽ければ、いじらずにいるうちに落ち着くことがあります。ただし条件があります——その後いっさい耳に触れないこと。気になって綿棒を入れるたびに振り出しに戻ります。
受診の目安は3つ。①2〜3日たっても痛みが引かない、または強くなっている/②耳だれが出る/③聞こえが落ちた。
そして糖尿病がある方は、様子を見ないでください。血糖が高い状態では感染が深いところへ広がることがあり、耳の外の骨に及ぶ重い状態が知られています。健診で血糖を指摘されている方も同様です(糖尿病の合併症)。
Q 飛行機を降りてから、ずっと耳が痛いままです。
A.気圧の変化で中耳に負担がかかった状態です。多くは数時間から1〜2日で戻りますが、それを超えて続くなら受診してください。鼓膜の奥に水がたまっていたり、鼓膜自体が傷ついていたりすることがあります。
背景として鼻づまりがあったかどうかを思い出してください。鼻が詰まっていると耳の圧調整ができず、この状態になりやすくなります。かぜや花粉症の時期の搭乗は、条件として不利です。
次回への対策は3つ——①離陸前と着陸開始からつばを飲む動作を繰り返す(飴やガムが役立ちます)、②着陸時に寝ない、③鼻づまりがあれば搭乗前に点鼻薬で通りを確保する。②は見落とされがちですが、眠っていると嚥下の回数が減って調整ができません。
Q 冷やすのと温めるの、どちらがよいですか?
A.原因によって逆になります。見分けは「触ると痛いか」です。
耳を引っ張ったり押したりして痛みが強くなるなら、炎症です。冷やしてください。保冷剤をタオルで包んで耳の外側に当てます。
口を開けたりあごを動かすと痛むなら、温めるほうが楽になります。顎関節や筋肉のこわばりが背景にあるためです。
迷ったらまず冷やして、変化を見るのが無難です。冷やして楽になるなら炎症側、変わらないか悪化するならあご側と考えられます。
なお、耳の穴に直接何かを入れて冷やしたり温めたりしないでください。外側から当てるだけにしてください。
Q 耳の痛みと一緒に、水ぶくれのようなものが出ています。
A.今日か明日には受診してください。耳やその周囲に水ぶくれが出る場合、帯状疱疹のウイルスが耳の神経で再び動き出している可能性があります。
この状態では、顔の片側が動かしにくい・味が分かりにくい・耳鳴りやめまいを伴うことがあります。顔の神経に及んでいるサインで、治療を始めるまでの日数で結果が変わります。
「水ぶくれが小さいから」「顔は動くから」と待たないでください。症状が揃ってから動くと遅れます(帯状疱疹の見分け方)。
受診先は耳鼻咽喉科です。「耳の痛みと水ぶくれ、顔の動きが気になる」と最初に伝えてください。
Q イヤホンを長時間使っています。耳の痛みと関係ありますか?
A.関係します。しかも、この年代で増えている要因です。オンライン会議が日常になり、1日に何時間もイヤホンを着けたままの方が珍しくなくなりました。
起きていることは2つ。①ふさぐことで耳の中の湿度が上がり、菌が増えやすくなる。②長時間の圧迫そのものが皮膚の刺激になる。耳栓型(カナル型)は、この両方が起こりやすくなります。
対策は単純です——会議と会議のあいだに外す、1時間ごとに休ませる、耳を覆うタイプに変える、イヤーピースをこまめに拭く。これだけで再発の頻度が変わることがあります。
なお、痛みが出ている間はイヤホンの使用を止めてください。ふさぎ続けると治りが遅くなります。会議はスピーカーで乗り切ってください。
まとめ:まず、耳を引っ張ってみてください
「耳が痛い」で調べると中耳炎の説明が並びますが、それは主に子どもの話です。大人では事情が違います。
- 引っ張ると痛みが強くなる:外耳の炎症。大人の耳の痛みで最も多く、きっかけの多くは耳掃除
- 引っ張っても変わらない:鼓膜の奥(中耳炎・気圧)か、そもそも耳以外
- 「耳はきれい」と言われたら関連痛を疑う:あご・歯・のど・首。この年代でいちばん多いのは顎関節症
- 痛い間は耳をいじらない:綿棒でいじるほど傷が広がる。「奥に何かある感じ」は腫れによるもの
- 冷やすか温めるかは触ると痛いかで決める:触って痛いなら冷やす、あごを動かして痛いなら温める
そして、くり返している方へ。いちばん効くのは、耳掃除をやめることです。耳垢はあごの動きに合わせて自然に外へ運ばれます。「掃除しないと詰まる」という心配は、多くの方には当てはまりません。気になるなら、自分で掘るより耳鼻咽喉科で見てもらうほうが確実で安全です。
ただし、耳のまわりに水ぶくれが出ている・顔の片側が動かしにくい・糖尿病があって痛みが強い——このどれかがあるときだけは別です。様子を見ずに、その日のうちに受診してください。