健診で尿酸値を指摘されると、たいてい最初に言われるのが「プリン体を控えてください」です。真面目な方ほど、レバーと白子とビールをやめ、干物を控え、魚卵を避けます。

それで下がった方は、この記事を読む必要がありません。問題は、下がらなかった方です。そして実際のところ、下がらない方のほうが多いのです。

理由は、体の中の事情にあります。血液中の尿酸のうち、食べ物に由来するのは一部にすぎません。大半は自分の体の細胞が新陳代謝する過程でつくられています。食事から入る分を減らしても、体がつくる分は変わりません。だから、プリン体だけを削っても数値はあまり動かないのです。

さらにもうひとつ。尿酸値が高い状態には「つくりすぎ」と「出せていない」の2つがあり、日本人ではこのうち「出せていない」タイプが最も多いとされています。出せていない人が、入ってくる量を減らしても、効き方は限られます。

この記事では、プリン体の話をいったん脇に置いて、実際に数値を動かす4つ——体重・酒・果糖・水分——を効く順に並べます。そのうえで「足す側」の食べ物と、意外に見落とされている運動の落とし穴まで扱います。

なお、プリン体の多い食品や、お酒の具体的な飲み方プリン体とお酒の記事にまとめてあります。痛風の基礎痛風とはの記事発作が起きたとき痛風発作の前兆の記事痛風の薬の記事へ。

まず、この3つだけ確認してください

手をつける前に、3つだけ答えてください。

1つめ:これまでにプリン体を控えたことがありますか。控えた結果、数値は下がりましたか。控えたのに横ばい、あるいは上がった——という方は、この記事のH2-2とH2-3がそのまま答えになります。

2つめ:この1年で体重は増えましたか。尿酸値と体重は、想像以上に強く結びついています。「数値が上がった年に、体重も増えていた」という方は非常に多いのです。

3つめ:1日にどれくらい水分をとっていますか。お茶やコーヒーを含めて構いません。「気づくと夕方まで何も飲んでいない」という働き方をしていませんか。

1つめが、この記事でいちばん重要な質問です 尿酸は、体の細胞が生まれ変わるときに出る老廃物です。細胞の中の核酸(DNAやRNAの材料)が分解されると、プリン体を経て尿酸になります。つまりあなたの体は、何も食べていなくても尿酸をつくり続けています。
食べ物から入るプリン体も尿酸になりますが、体全体でつくられる量に対して、その割合は大きくありません。だから食事だけを削っても、数値は思ったほど動きません。
「プリン体を控えたのに下がらなかった」は、努力不足ではなく、そもそも効きにくい相手を選んでいたということです。

【一問】プリン体を控えて、それで下がりましたか

もう少し踏み込みます。

尿酸は「食べたもの」より「自分の体」から来ています

体の中には常に一定量の尿酸がプールされていて、毎日つくられ、毎日排泄されて入れ替わっています。つくられる側の主役は体内の細胞の新陳代謝で、食事から入るプリン体はその一部を占めるにすぎません。

この構造を知ると、いくつかのことが腑に落ちます。断食しても尿酸値は下がらない——むしろ急激な減量では一時的に上がることがあります。プリン体ゼロの発泡酒に替えても効きが薄い——理由はH2-5で説明します。まじめに食事制限したのに数値が変わらない——ここまで読んだ方なら理由が分かるはずです。

ただし、まったく無意味ではありません

誤解しないでください。プリン体の制限に意味がないと言っているのではありません。とくにレバー・白子・あん肝・干物・魚卵といった、プリン体が突出して多い食品を毎日のように食べている方であれば、控える価値は十分にあります。

言いたいのは順番の話です。プリン体だけを削って、体重も酒も水分もそのままにしているなら、いちばん効かない一手に力を注いでいることになります。逆に、H2-4以降の4つをやったうえでプリン体も見直せば、その効果は上乗せされます。

プリン体の多い食品の具体的なリストプリン体とお酒の記事にまとめてあります。気にしなくていい食品も併せて載せてあるので、「何を我慢すべきで、何は我慢しなくていいのか」を知りたい方はそちらへどうぞ。

「つくりすぎ」か「出せていない」か——日本人に多いのは後者です

ここが、この記事の背骨です。

尿酸値が高い状態は、原因によって大きく2つに分かれます。

タイプ 何が起きているか 効きやすい手
排泄低下型
(出せていない)
腎臓から尿へ出ていく量が少ない。日本人ではこのタイプが最も多いとされる 体重を落とす/酒を減らす/水分をとる
産生過剰型
(つくりすぎ)
体内でつくられる量が多い 体重を落とす/果糖を減らす/プリン体を控える
混合型 両方が重なっている 上のすべて

ポイントは、日本人男性では「排泄低下型」が最も多いとされていることです。そして排泄低下型には、プリン体制限はあまり効きません。入ってくる量ではなく、出ていく量が問題だからです。

「プリン体を控えたのに下がらなかった」方の多くは、このタイプに当てはまります。やるべきことは、入り口を絞ることではなく出口を広げることです。具体的には体重・酒・水分——H2-4、H2-5、H2-7で扱う3つが、そのまま出口を広げる手になります。

自分がどちらか知りたい場合 血液検査だけでは分かりません。尿検査を組み合わせて、尿にどれだけ尿酸が出ているかを調べることで、ある程度の見当がつきます。
頼み方は難しくありません。内科を受診して「健診で尿酸値を指摘されました。生活を見直したいので、つくりすぎか出せていないかを調べられますか」と伝えれば通ります。高尿酸血症の経過を診るための検査なので、多くの場合は保険診療の範囲で行われます。持っていくものは健診結果の用紙と、飲んでいる薬があればお薬手帳——この2つで足ります。
なお検査は尿をためて調べる形になることがあり、その場合は当日すぐに結果が出ないこともあります。受診の際に流れを確認してください。
ただし、タイプが分からなくても困りません。この記事の1位から4位まではどちらのタイプにも効く手だからです。とくに体重を落とすことは、つくる量を減らし、同時に出す力も改善する方向に働きます。だから順位が1位なのです。
タイプ分けが本当に必要になるのは、薬を使う段階です。薬には尿酸をつくらせない方向のものと、尿に出す方向のものがあり、タイプによって選ばれる薬が変わります。詳しくは痛風の薬の記事へ。

【1位】体重を落とす——ここが最大です

尿酸値の対策で、効果がいちばん大きく、しかも見過ごされやすいのが体重です。

自宅の洗面所で体重計に乗っている40代男性の足元

なぜ体重が効くのか

太っている状態では、尿酸がつくられる量が増える方向と、腎臓から出ていく量が減る方向の、両方が同時に起こることが知られています。とくに内臓脂肪が多い状態では、インスリンが効きにくくなり、それが腎臓での尿酸の排泄を妨げると考えられています。

つまり体重は、つくる側と出す側の両方に効きます。プリン体制限が「入り口だけ」に効くのとは、影響の広さが違います。この記事で1位に置いている理由です。

目標は「5%」で足ります

10kg減らす必要はありません。目安は体重の5%。80kgの方なら4kg、75kgなら約3.8kgです。数値を動かすという目的なら、この程度の減量で意味のある変化が期待できるとされています。

「体は動かしているのに、体重が落ちない」方へ

現場仕事や配送、立ち仕事で1日1万歩以上歩いているのに、体重が落ちない——という方は少なくありません。運動不足ではないので、「もっと歩け」というアドバイスは的外れです。

この場合、見るべきは入る側です。理由は単純で、体をよく動かす仕事の方ほど、食べる量と飲む量が多くなるからです。肉体労働のあとの食事は量が増えますし、水分補給として糖入りの飲料をとる機会も増えます。消費が多いぶん、摂取も多い。差し引きで減らないという形になっています。

そして尿酸値に関しては、ここに固有の事情が加わります。H2-7で扱いますが、大量に汗をかく働き方そのものが、尿から出ていく尿酸を減らす方向に働きます。つまり「よく動いているのに尿酸値が高い」は、この職種では珍しくありません。体型や運動量を責める必要はありません。

この方たちが手をつけるべき順番は、少し変わります。体重より先に、H2-6(果糖)とH2-7(水分)です。飲み物を替えることは、量を減らすより実行しやすく、しかも尿酸値には直接効きます。体重はそのあとで構いません。

やり方は、腹囲が気になる方向けに内臓脂肪を落とす記事にまとめてあります。

【重要】急激に減らさないでください 尿酸値に関しては、減量の「やり方」が結果を左右します。
絶食に近い方法や、短期間で一気に体重を落とす方法をとると、かえって尿酸値が上がることがあります。体が脂肪を燃やすときにできるケトン体が、腎臓からの尿酸の排泄を妨げるためです。「1か月で5kg落とす」ようなやり方は、この数値に関しては逆効果になり得ます。
目安は月1〜2kgのペース。ゆっくり落とすほうが、結果的に早く数値が下がります。糖質を極端に抜く方法も、この理由から慎重に考えてください。

【2位】酒を減らす——プリン体ゼロでも上がります

飲む習慣がある方には、ここが2番目に大きい項目です。

「プリン体ゼロなら大丈夫」は、半分しか当たっていません

プリン体ゼロ・プリン体オフの発泡酒に替えている方は多いと思います。その努力は無駄ではありませんが、期待するほどの効果は出にくいのが実情です。

理由は、アルコールそのものが尿酸値を上げるからです。経路は2つあります。ひとつは、アルコールを分解する過程で体内の尿酸の産生が増えること。もうひとつは、分解の過程でできる乳酸が、腎臓からの尿酸の排泄を妨げること。

つまりアルコールは、つくる量を増やし、同時に出す量を減らします。プリン体が入っているかどうかとは別の話です。だから焼酎やウイスキーのような蒸留酒でも、飲めば尿酸値は上がる方向に働きます。

もちろんビールにはプリン体も含まれるので、ビールが不利であることは変わりません。ただし「ビールをやめて焼酎にしたから安心」ではない——ここが伝えたい点です。

減らし方は「日数」より「総量」

週に2日の休肝日から始めるのが分かりやすい入口です。ただし付き合いで飲む日を減らせない方は、日数ではなく1回あたりの量で調整してください。効いているのは飲まない日があることそのものではなく、週に体へ入るアルコールの総量だからです。

どの酒を選ぶか、席でどう振る舞うか、おつまみをどうするか——具体的な工夫はプリン体とお酒の記事に7つのコツとしてまとめてあります。1日の適量そのものは純アルコール量の記事へ。

【3位】果糖を減らす——見落とされている入口

ここは、ほとんど知られていない項目です。

果糖(フルクトース)は、体内で処理される過程で尿酸の産生を増やすことが知られています。プリン体を含んでいないのに、尿酸値を押し上げる方向に働くのです。

実際、果糖を多く含む清涼飲料水の摂取量が多い人ほど、痛風になりやすいという関連が複数の研究で報告されています。プリン体の話ばかりが有名なせいで、この経路は見落とされがちです。

街角の自動販売機の前で、水のペットボトルを手に取っている40代男性の後ろ姿

どこに入っているか

注意すべきは「果糖ぶどう糖液糖」を使った飲み物です。原材料表示を見てください。炭酸飲料、スポーツドリンク、缶コーヒー、栄養ドリンク、乳酸菌飲料、果汁飲料——ここに高い頻度で入っています。

とくに営業や現場仕事で、こまめにスポーツドリンクや缶コーヒーを飲んでいる方は要注意です。水分をとっているつもりで、尿酸値を上げる側の飲み物を選んでしまっている——という形になります。H2-7の「水分をとる」と、ここは必ずセットで読んでください。

果物そのものは、敵ではありません

「果糖」と聞いて果物を思い浮かべる方が多いのですが、果物と清涼飲料水は分けて考えてください。果物は食物繊維・カリウム・ビタミンCを一緒に含み、噛んで食べるので量が自然に止まります。

むしろビタミンCの摂取と尿酸値の低下に関連があるという報告もあります。1日にみかん数個、バナナ1本といった常識的な量であれば、過度に恐れる必要はありません。減らすべきはペットボトルのほうです。

【4位】水分をとる——出す側を助ける

H2-3で見たとおり、日本人に多いのは「出せていない」タイプです。だから出す側を助ける水分は、素直に効く手になります。

尿酸は主に尿から排泄されます。尿の量が少なければ、その分だけ出ていく量も減ります。脱水気味の生活は、それだけで尿酸値を押し上げる方向に働きます。

どれくらい飲めばいいか

目安として、1日の尿量が2リットル程度確保されるくらいの水分が勧められることが多いです。飲む量でいえば1日2リットル前後が一つの目安になります。ただし心臓や腎臓の病気で水分の制限を受けている方は、この限りではありません。必ず主治医の指示に従ってください。

中身は、水・お茶・無糖の炭酸水・ブラックコーヒーで構いません。H2-6のとおり、清涼飲料水で水分を補うのは逆効果になります。

続けるコツは「置き場所」です

「意識して飲む」は続きません。置き場所を変えてください。

デスクに1リットルのボトルを置く。これがいちばん確実です。減り具合が目に見えるので、意識しなくても進みます。外回りの方は車に常備する。会議のたびに水を1杯飲む、と決めるのも有効です。

とくに夏場と、汗をかく仕事の方は要注意です。脱水は尿酸値を上げるだけでなく、結晶ができやすい状況を招きます。サウナのあと、運動のあとは、意識して補ってください。

【夏場・屋外作業の方へ】熱中症対策と尿酸値の両立

ここは、この記事でいちばん実務的に難しいところです。H2-6では「果糖入りの飲み物を減らせ」と書き、ここでは「水分をとれ」と書いています。現場で毎日スポーツドリンクを飲んでいる方には、この2つが正面から対立して見えるはずです。

結論から言います。熱中症対策が優先です。脱水と熱中症は、その日のうちに命に関わります。尿酸値は3か月かけて動かす話です。比べるものではありません。「尿酸値のためにスポーツドリンクをやめる」は、絶対にしないでください。

そのうえで、両立させる方法があります。

1つめ:飲み分ける。大量に汗をかく作業中は、これまでどおり塩分と糖を含む飲料で構いません。問題は、汗をかいていない時間帯まで同じものを飲んでいることです。移動中、事務所にいる間、休憩後、帰宅後——ここを水・お茶・無糖の炭酸水に替えるだけで、1日の果糖はかなり減ります。

2つめ:薄める。スポーツドリンクを水で1.5〜2倍に薄めて飲む方法があります。塩分と水分は確保しつつ、糖の量を減らせます。ただし大量発汗時は薄めすぎないでください。

3つめ:塩分は別で摂る。水やお茶と、塩分タブレットや梅干しを組み合わせる方法です。糖を通さずに塩分だけ補えます。現場で常備している方も多いはずです。

汗をかく仕事は、それ自体が尿酸値を押し上げます 現場仕事、屋外作業、調理場、工場——日常的に大量の汗をかく方は、それだけで尿酸値が上がりやすい条件がそろっています。汗として水分が出ていくぶん尿の量が減り、尿から出ていく尿酸も減るからです。
つまり「運動不足でもなく、食べ過ぎてもいないのに尿酸値が高い」という方が、この働き方には実際にいます。体型や食生活を責める前に、1日にどれだけ尿が出ているかを考えてみてください。
判断の目安は、尿の色です。濃い黄色なら足りていません。薄い麦わら色になるくらいが、ひとつの目安になります。トイレのたびに確認できるので、量を数えるより続きます。そして仕事終わりのビールは、その日いちばん脱水している体に入る——ここが重なると、いちばん不利な条件になります。

足す側の食べ物——コーヒー・乳製品・野菜

ここまで「減らす」話が続いたので、足す側を整理します。我慢が要らないぶん、続けやすい項目です。

コーヒー

コーヒーをよく飲む人ほど、尿酸値が低い、あるいは痛風になりにくいという関連が、複数の研究で報告されています。興味深いことにカフェインレスのコーヒーでも同様の傾向が報告されており、カフェイン以外の成分が関わっている可能性が指摘されています。

ただしこれは「コーヒーを飲めば尿酸値が下がる」という意味ではありません。関連が観察されているという段階の話です。すでに飲む習慣がある方は続けて構いませんし、砂糖入りの缶コーヒーをブラックに替える理由にはなります。飲まない方が数値のために無理に始める必要はありません。

低脂肪の乳製品

低脂肪牛乳やヨーグルトをよくとる人で、尿酸値が低い・痛風のリスクが低いという関連が報告されています。乳製品に含まれるたんぱく質が、尿酸の排泄を助ける方向に働く可能性が考えられています。

実務的には朝にヨーグルトを1つ、牛乳を低脂肪に替える——この程度で構いません。ただし全脂肪の乳製品は飽和脂肪酸が多く、LDLコレステロールには不利なので、低脂肪を選ぶのが両立の答えです。

野菜・海藻・きのこ

「ほうれん草やブロッコリーはプリン体が多いから避けるべき」と聞いたことがあるかもしれません。ところが野菜由来のプリン体は、肉や魚のプリン体と違って痛風のリスクを上げないという報告があります。野菜を避ける理由はありません。

むしろ野菜・海藻・いも類には別の役割があります。尿が酸性に傾いていると、尿酸は溶けにくくなり、排泄されにくくなります。野菜や海藻を多くとると尿がアルカリ性に傾き、尿酸が溶けやすくなる方向に働きます。出す側を助ける、という意味で理にかなっています。

【要注意】運動で尿酸値が上がることがあります

ここは知らない方が多いので、独立した節にします。

体重を落とすために運動を始めるのは正しい判断です。ただし、やり方によっては尿酸値が上がります。

問題になるのは息が上がりきるような、短時間で追い込む運動です。全力のダッシュ、限界までのウェイトトレーニング、きついインターバル——こうした無酸素運動では、筋肉のエネルギーが急速に使われ、その分解の過程で尿酸が増えます。加えて大量に汗をかけば脱水になり、乳酸も増えて排泄が妨げられます。三重に不利です。

勧められるのは、あくまで有酸素運動です。目安は「話はできるが、歌うのはつらい」くらいの強度で、早歩きを1回30分、週3〜5回。合計で週150分程度が一般的な目安とされています。

筋トレをやめる必要はありません 誤解のないように書きます。筋トレそのものが悪いのではなく、「限界まで追い込むこと」と「水分を取らないこと」が問題です。
対策は3つ。①限界の一歩手前でやめる(あと2回できる、というところで切り上げる)。②トレーニング中と後に、意識して水を飲む。③終わったあとにビールで締めない。——最後がいちばん効きます。
運動の組み立てはウォーキングの記事筋トレの基本の記事もあわせてどうぞ。

どれくらいで下がるか——3か月が目安です

見通しを持っておくと、続けやすくなります。

生活の見直しで尿酸値が動くまでには、おおむね3か月程度を見ておいてください。体重が落ちるのに時間がかかるぶん、中性脂肪のように数週間で大きく動く数値ではありません。

また尿酸値は日によって多少ぶれます。前日の飲酒、脱水、激しい運動——いずれも当日の数値に影響します。1回の結果で一喜一憂せず、3か月ごとの流れで見てください。

そして「3か月やって変わらなければ受診する」と先に決めておいてください。下がらない場合、①もともと下げしろが少なかった、②排泄低下型で生活改善だけでは届かない、③薬や別の病気が関わっている——このいずれかです。いずれも自己流では判断できません。

数値が下がり始めた時期に、発作が起きることがあります 知っておいてほしいことがあります。尿酸値が急に下がる過程で、かえって痛風発作が起きることがあります。関節に溜まっていた尿酸の結晶が、まわりの環境が変わることではがれ落ちて炎症を起こすためと考えられています。
これは「効いていない」サインではありません。むしろ数値が動いている証拠です。ただし痛みは本物なので、対処が必要です。発作が起きたときにやってはいけないことを含め、痛風発作の前兆の記事を先に読んでおいてください。
そして、ここを「だから下げないほうがいい」と読まないでください。まったく逆です。高い状態を放置するほうが、発作も合併症も起こりやすくなります。下げる過程で起こり得るのは一時的なもので、数値が安定すれば発作は起こりにくくなっていきます。目指すのは「下げない」ことではなく、「急に下げず、ゆっくり確実に下げる」ことです。
なお、生活の見直しによる変化は薬ほど急ではないため、この記事の1〜4位を実行することで発作が誘発される心配は、それほど大きくありません。気をつけるべきは、H2-4で書いた「短期間で一気に体重を落とす」やり方のほうです。
そして、発作中に自己判断で尿酸値の薬を始めたり中止したりしないでください。必ず医師の指示に従ってください。

薬が必要になるラインと、受診の目安

「いくつなら薬なのか」は、よく聞かれます。数値だけでは決まりません。

明るい診察室で、医師と向かい合って健診の尿酸値について説明を受けている40代男性の後ろ姿

その前に——自分の数字がどこにあるか

目安を先に置きます。血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が、高尿酸血症と呼ばれます。男女差はなく、この値は「尿酸が血液に溶けきれなくなる濃度」から決まっています。7.0を超えると、理屈のうえでは結晶ができ得る状態だということです。

尿酸値 位置づけ
7.0以下 基準の範囲内。今の生活を維持する
7.1〜7.9 ここがいちばん多い層。まず生活の見直しで動かせる範囲。この記事の1〜4位に集中する
8.0〜8.9 生活の見直しに加え、他の病気の有無によって薬が検討される帯。一度受診して方針を決める
9.0以上 他に病気がなくても薬が検討される帯。自己流で様子を見る段階ではありません

ただしこれは目安であって、境界線ではありません。7.9と8.0で体の中が急に変わるわけではありませんし、7.2でも高血圧や腎臓の指摘がある方は、より積極的に対応が検討されます。逆に8.2でも他に何もなければ、まず生活から始めることは珍しくありません。数値そのものより、次に述べる「発作の有無」と「他の病気」のほうが、判断を大きく左右します。

判断を分ける最大の要素は「痛風発作を起こしたことがあるか」です。

発作を起こしたことがある方は、数値の高さにかかわらず、薬による治療が検討されるのが一般的です。発作は、関節に結晶が溜まっている証拠だからです。

発作を起こしたことがない方の場合は、数値の高さと、他に病気があるかどうかで判断されます。高血圧・糖尿病・腎臓病・脂質異常症などを併せ持っていると、より低い数値から治療が検討されます。逆に、他に何もなく、数値もそれほど高くなければ、まず生活の見直しから始めるのが一般的です。

次のいずれかに当てはまるなら、3か月を待たずに受診してください。——①足の親指の付け根などが急に赤く腫れて激しく痛んだことがある、②健診で腎臓(クレアチニンやeGFR)も指摘されている、③尿路結石を起こしたことがある、④数値が年々上がり続けている。

診療科は内科で構いません。腎臓の指摘もある方は腎臓内科、関節の症状が強い方は整形外科やリウマチ科という選択肢もあります。腎臓との関係は尿酸値と腎臓の記事、薬の種類と使い分けは痛風の薬の記事にまとめてあります。

よくある質問(FAQ)

Q 尿酸値を早く下げる方法はありますか?

A.生活の見直しで動くまでには、3か月程度をみておいてください。急いで結果を出そうとして絶食や短期間の激しい減量をすると、かえって尿酸値が上がることがあります。健診が近いという理由で急ぐより、飲酒を控えて水分を十分にとることのほうが確実です。なお、数値をすぐに下げる必要がある状態かどうかは医師が判断します。発作を繰り返している方は、生活改善だけで押し切ろうとせず受診してください。

Q コーヒーを飲むと尿酸値が下がるというのは本当ですか?

A.コーヒーをよく飲む人ほど尿酸値が低い、痛風になりにくいという関連が複数の研究で報告されています。カフェインレスでも同様の傾向が報告されているのが興味深い点です。ただし「飲めば下がる」と言えるものではなく、あくまで関連が観察されている段階です。すでに飲む習慣があるなら続けて構いませんし、砂糖入りの缶コーヒーをブラックに替える理由にはなります。飲まない方が無理に始める必要はありません。

Q プリン体ゼロのビールなら、いくら飲んでも大丈夫ですか?

A.そうとは言えません。アルコールそのものが、体内での尿酸の産生を増やし、同時に腎臓からの排泄を妨げる方向に働くためです。プリン体が入っていない蒸留酒でも同じことが起こります。プリン体ゼロの商品を選ぶこと自体は悪くありませんが、「ゼロだから量を増やしていい」という使い方をすると、かえって数値は上がります。効いているのはプリン体の有無より、飲む総量のほうです。

Q ほうれん草やブロッコリーは避けるべきですか?

A.避ける必要はありません。これらの野菜にはプリン体が含まれますが、野菜由来のプリン体は肉や魚のプリン体と違い、痛風のリスクを上げないという報告があります。むしろ野菜や海藻には、尿をアルカリ性に傾けて尿酸を溶けやすくする働きが期待できます。プリン体の量だけを見て野菜を減らすと、かえって不利になります。

Q 尿酸値が高いだけで、痛みもありません。放っておいてはいけませんか?

A.尿酸値が高いだけでは、痛みなどの自覚症状は出ません。それが放置されやすい理由です。ただし高い状態が続くと、関節に結晶が溜まって発作につながるほか、腎臓への負担や尿路結石とも関わります。症状がないことは、問題がないことではありません。とくに数値が年々上がっている方は、痛みが出るのを待たずに手を打つほうが、結果的に負担が小さくて済みます。

Q サプリメントで尿酸値を下げられますか?

A.食品やサプリメントは医薬品ではないため、病気を治したり数値を確実に下げたりするものとして扱うことはできません。この記事で挙げた方法も、普段の生活の組み立てを変えることを前提にしています。すでに薬を処方されている方は、自己判断でサプリメントを追加しないでください。飲み合わせが問題になることもあるため、試したい場合は主治医か薬剤師に相談してください。

まとめ:入り口を絞るより、出口を広げてください

尿酸の多くは、食べたものではなく自分の体がつくっています。そして日本人に多いのは「つくりすぎ」ではなく「出せていない」タイプです。プリン体を控えても下がらなかったのは、努力の向け先が違っただけです。

  • 1位・体重を5%落とす:つくる量を減らし、出す力も改善する。ただし急激な減量は逆効果
  • 2位・酒を減らす:プリン体ゼロでも上がる。効いているのは種類より総量
  • 3位・果糖を減らす:ペットボトルの清涼飲料水。果物ではない
  • 4位・水分をとる:出す側を助ける。デスクに1リットルのボトルを置く
  • 運動は有酸素で:限界まで追い込む無酸素運動は、かえって数値を上げる

今日ひとつだけやるなら、デスクか車に1リットルの水を置いてください。我慢がひとつも要らず、出す側を直接助ける手です。プリン体の一覧表とにらめっこするのは、そのあとで構いません。