「夜中に2〜3回トイレに起きる」「排尿に時間がかかる」「トイレが近くなった気がする」——40代後半以降の男性にとって、こうした排尿トラブルはありふれた悩みです。その原因のひとつが前立腺肥大症(良性前立腺肥大症/BPH)です。

前立腺肥大症は50代で約50%、70代では約90%が罹患するとされており、男性であれば誰にでも起こりうる病気です。ただし「加齢だから仕方ない」と放置するのは禁物です。適切な治療を早く始めるほど、選択肢が増え、生活の質(QOL)を長く保てます。

この記事では、前立腺肥大症の主な治療法(薬物療法・手術療法)の種類と特徴、それぞれの副作用、手術が必要になるケース、そして日常生活で症状を和らげるポイントをわかりやすくまとめました。泌尿器科への受診を考えている方、すでに薬を服用中で疑問がある方の参考になれば幸いです。

経過観察か、薬か、手術か——線引きは決まっています

前立腺肥大症の治療は、症状の重さと、体に起きている実害の2つで段階が決まります。「大きいと言われたから薬」ではありません。まず自分がどの段階にいるかを確認してください。

段階目安方針
経過観察IPSS 0〜7点(軽症)で、生活に支障がない生活習慣の見直しと定期的な確認。薬を使わずに安定する方も多い
薬物療法IPSS 8点以上(中等症〜)、または本人が困っている症状の型に合わせて薬を選ぶ(下記)
手術薬で改善しない/尿閉を繰り返す/残尿が多く腎機能に影響/膀胱結石・繰り返す尿路感染・血尿内視鏡手術。お腹は切らない

ここで大事なのは、点数だけで決まるわけではないという点です。IPSSが10点でも本人がまったく困っていなければ経過観察になりますし、7点でも夜間のトイレで生活が壊れているなら薬を検討します。「困っているかどうか」は正当な判断材料です。診察でそう伝えて構いません。

一方で、本人の困り具合と関係なく手術が必要になる条件もあります。上の表の3段目がそれで、これらは膀胱や腎臓に実害が出ている、または出そうな状態です。とくに尿が完全に出なくなる(尿閉)を繰り返している場合は、我慢の問題ではありません。

どの薬から始まるかは、症状の型で決まる

薬物療法に進む場合、最初に出される薬は、あなたの症状が「出にくい型」か「我慢できない型」かで変わります。

症状の型主に使う薬何をする薬か
出にくい型(勢いが弱い・時間がかかる・残尿感)α1遮断薬尿道と前立腺の筋肉をゆるめて、出やすくする。数日〜数週間で効く
前立腺が大きい(30mL以上)5α還元酵素阻害薬を追加前立腺そのものを縮める。効果が出るまで数か月
我慢できない型(急な強い尿意・頻尿)が併存抗コリン薬/β3作動薬を追加膀胱の過剰な収縮を抑える
ED も気になっているPDE5阻害薬(タダラフィル)排尿症状とEDの両方に使える

順番があります。いきなり膀胱を抑える薬から始めることは、通常ありません。出にくい型に膀胱を抑える薬を単独で使うと、かえって出なくなる(尿閉)ことがあるためです。α1遮断薬で出口を広げてから、必要に応じて膀胱側の薬を足す——これが基本の流れです。

自分がどちらの型かは、残尿感・尿が出にくい|出にくいのか、我慢できないのかで原因が分かれますで確認できます。診察で「どちらがつらいか」を伝えられると、最初の薬選びが変わります。

前立腺肥大症の治療法は大きく3つある

前立腺肥大症の治療方針は、症状の重さによって決まります。泌尿器科では「国際前立腺症状スコア(IPSS)」と呼ばれる質問票を使って症状を数値化し、0〜7点(軽症)・8〜19点(中等症)・20〜35点(重症)の3段階に分類します。この点数と検査結果を組み合わせて、以下の3つの治療法から最適なアプローチを選択します。

まだ受診しておらず、自分の症状の程度を確かめたい段階であれば残尿感・尿が出にくい|出にくいのか、我慢できないのかで原因が分かれますでIPSSに沿った点検ができます。病気そのものの基礎は前立腺肥大症とは?を、症状が似ていて治療方針が異なる過活動膀胱との違い過活動膀胱とは?前立腺肥大症との違いをご覧ください。

① 経過観察(症状が軽い場合)

IPSSが7点以下の軽症では、すぐに薬を使わず「経過観察」が基本です。定期的に泌尿器科を受診(3〜6ヶ月に1回が目安)しながら、水分摂取の時間帯を工夫したり、カフェインやアルコールを控えたりする生活習慣の改善で症状をコントロールします。

軽症の段階では薬の副作用リスクよりも、生活習慣の改善で得られるメリットのほうが大きいため、まず無理なく続けられる範囲で対策することが推奨されています。

② 薬物療法(最も多く選ばれる治療法)

IPSSが8点以上の中等症〜重症で、日常生活に支障が出ている場合は薬物療法が主体になります。外来で処方された内服薬を自宅で続ける方法で、手術に比べて身体への負担が少なく、多くの方がこの段階で症状を改善できます。

薬の種類は複数あり、症状の出方や合併症(EDなど)に応じて使い分けられます。詳しくは次のセクションで解説します。

③ 手術療法(薬が効かない・重症の場合)

薬を半年以上続けても効果が不十分な場合、または急性尿閉(まったく排尿できなくなる)・膀胱結石・腎機能低下などの合併症が生じた場合は、手術が検討されます。

近年はレーザーを用いた低侵襲手術が普及し、以前より入院期間が短縮されています。手術が必要なケースや種類については、後述のセクションで詳しく説明します。

40〜50代の日本人男性が泌尿器科の診察室で医師と向き合い、治療について相談しているシーン

薬物療法の種類と特徴

前立腺肥大症の薬物療法には、作用の仕組みが異なる複数の薬があります。それぞれの特徴を理解しておくと、処方された薬への理解が深まり、副作用が出たときにも慌てずに対処できます。

α1遮断薬(尿道をゆるめて排尿を楽にする)

前立腺肥大症の薬として最も広く処方されているのが、α1遮断薬(アルファ1遮断薬)です。前立腺・膀胱頸部にあるα1受容体に作用し、尿道周囲の筋肉をゆるめることで尿の通り道を広げます。

主な薬には、タムスロシン(ハルナール)・シロドシン(ユリーフ)・ナフトピジル(フリバス)などがあります。服用を始めて1〜2週間以内に効果を実感できることが多く、排尿の勢いが改善したり、夜間に起きる回数が減ったりします。

前立腺そのものを縮小はさせない α1遮断薬は尿道をゆるめて排尿を楽にする薬であり、前立腺自体を小さくする効果はありません。薬を中断すると症状が再び悪化することがあります。

5α還元酵素阻害薬(前立腺を縮小させる)

男性ホルモンのテストステロンは体内でDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、前立腺を肥大させる働きをします。5α還元酵素阻害薬は、この変換を担う酵素「5α還元酵素」をブロックすることで、前立腺そのものを縮小させます。

代表薬はデュタステリド(アボルブ)です。前立腺を物理的に小さくするため、効果が出るまでに3〜6ヶ月かかります。前立腺が大きい(40cc以上)ケースや、α1遮断薬との併用で使われることが多い薬です。

注意点として、5α還元酵素阻害薬を服用するとPSA(前立腺特異抗原)値が約半分に下がります。PSAは前立腺がんのスクリーニング指標であるため、PSA検査を受ける際は必ずこの薬を服用中であることを医師に伝えてください。

PDE5阻害薬(EDと前立腺肥大を同時に治療)

タダラフィル(ザルティア)は、ED治療薬として知られるPDE5阻害薬の一種ですが、前立腺肥大症に対する適応も持っています。前立腺・膀胱・尿道の平滑筋をゆるめ、排尿機能を改善する作用があります。

前立腺肥大症とEDを合併している40〜50代男性に特に有用です。ただし、硝酸薬(狭心症の薬)との併用は血圧が急低下するため禁忌です。心臓に持病がある方は必ず医師に伝えたうえで使用可否を確認してください。

漢方薬・植物エキス製剤

八味地黄丸(はちみじおうがん)・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などの漢方薬は、夜間頻尿や残尿感に対して補助的に用いられます。西洋薬に比べて副作用が少なく、複数の薬を服用している高齢者や、α1遮断薬の副作用(立ちくらみなど)が出やすい方に選ばれることがあります。

欧米ではノコギリヤシ(ソーパルメット)のサプリメントが有名ですが、大規模な臨床試験ではプラセボと有意差がなかった結果も報告されており、医薬品ほどのエビデンスはありません。あくまで補助的なポジションとして理解しておくのが妥当です。

40〜50代の日本人男性がキッチンテーブルで眼鏡をかけながら処方薬のボトルのラベルを確認しているシーン

薬の副作用と注意点

前立腺肥大症の薬は長期間服用するケースが多いため、副作用のプロフィールを知っておくことが大切です。薬の種類によって注意すべき点が異なります。

α1遮断薬の副作用

α1遮断薬が血管にも作用することで、立ちくらみ(起立性低血圧)が起こりやすくなります。特に朝起き上がる直後、長時間立ちっぱなしのとき、暑い環境でのお風呂上がりなどに注意が必要です。飲み始めの1〜2週間に出やすいため、この時期は急に立ち上がらず、ゆっくり動くことを意識してください。

また、シロドシン(ユリーフ)に多い副作用として「逆行性射精」があります。射精時に精液が尿道から外に出ず、膀胱の方向に逆流する現象です。射精感はあるものの精液量が激減したり、ほぼ出なくなったりします。健康への害はありませんが、気になる場合は医師に相談してください。

5α還元酵素阻害薬の副作用

服用患者の1〜3%程度に、性欲低下・ED(勃起不全)・射精量の減少といった性機能への影響が報告されています。発現頻度は高くありませんが、気になる症状が出た場合は主治医に伝えましょう。薬を変更したり用量を調整したりする選択肢があります。

また、5α還元酵素阻害薬は「催奇形性」があるとされているため、妊娠中または妊娠の可能性がある女性は錠剤(割れた粉末も含む)に触れてはいけません。家庭内で保管する際は専用の容器で管理してください。

服薬継続の重要性

前立腺肥大症の薬は「症状が楽になったら飲むのをやめていい」わけではありません。α1遮断薬は中断すると数週間で症状が戻り、5α還元酵素阻害薬は中断により前立腺が再び肥大します。

副作用がつらい、薬代の負担が大きいなど、中断を考える事情がある場合は自己判断せず、必ず泌尿器科医に相談してください。副作用が出ている薬から別の薬に切り替えたり、減量することで継続できるケースも多くあります。

薬を自己中断しないこと 「調子が良くなったから」「副作用が出たから」という理由で薬を自己判断でやめると、症状が急速に悪化したり、尿閉などの緊急事態につながる可能性があります。変更・中止はかならず泌尿器科医と相談のうえで行ってください。

手術を検討するタイミング

薬物療法が有効でないケース、または以下のような合併症が生じた場合は、手術が選択肢に上がります。

手術が必要になるケース

以下の状況では、早期に手術を検討することが推奨されます。

  • 急性尿閉:まったく排尿できなくなった状態。救急受診が必要です
  • 反復する尿路感染症:膀胱炎・腎盂腎炎を繰り返す
  • 膀胱結石の形成:前立腺肥大による排尿不全で膀胱内に石ができた
  • 水腎症・腎機能の低下:尿が腎臓に逆流し、腎機能が悪化している
  • 薬物療法の効果不十分:半年以上続けても症状が改善しない

これらの合併症は「急に尿が出なくなった」など自覚できるものもありますが、腎機能低下は自覚症状が乏しい場合もあるため、定期的な超音波検査と血液検査が大切です。

主な手術の種類

現在日本で主に行われている前立腺肥大症の手術は以下の3種類です。いずれも尿道から内視鏡を挿入する方法で、腹部を切開しません。

TURP(経尿道的前立腺切除術)は、内視鏡を尿道から挿入して電気メスで肥大した前立腺組織を削り取る術式で、国内で最も普及している標準的な手術です。比較的確実な効果が得られますが、前立腺が非常に大きい(80cc以上)場合には適さないこともあります。

ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)は、ホルミウムレーザーで前立腺の腺腫を包んでいる外科的被膜から核出(くり抜く)する方法です。前立腺の大きさを問わず適応でき、出血が少ない点が特徴です。大きな前立腺には特に有利で、近年普及が進んでいます。

光選択的レーザー前立腺蒸散術(PVP)は、グリーンレーザーで前立腺組織を蒸散させる術式です。止血効果が高く、抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)を服用中で薬の中断が難しい患者に適しています。

入院期間と回復の目安

TURPの場合、一般的な入院期間は5〜7日程度です。術後しばらくカテーテルを留置するため、退院後も数週間は血尿や刺激症状(頻尿・残尿感)が残ることがあります。HoLEPやPVPは出血が少ないため、施設によっては2〜3日の入院で退院できるケースも増えています。

手術後3〜4週間は激しい運動や長時間の車の運転を避け、徐々に日常生活に戻していくのが一般的なスケジュールです。術後の経過は担当医から詳しい説明を受け、指示に従って生活してください。

生活習慣で症状を和らげる方法

薬を続けながらでも、日常生活の工夫で症状をさらに和らげることができます。特に夜間頻尿は睡眠の質に直結するため、以下のポイントを意識してみてください。

水分の摂り方(夜間頻尿対策)

「水分を飲まなければ夜間頻尿が減る」と思い込み、水分を極端に制限する方が多いのですが、これは逆効果になることがあります。脱水すると尿が濃縮され、膀胱を刺激してかえって頻尿を悪化させることがあります。

効果的なのは「いつ飲むか」を工夫することです。就寝2〜3時間前から水分摂取を意識的に控え、日中のうちに1日の水分量(1.5L程度)の大部分を摂るようにしましょう。夕方以降の水分は最小限に留めるのが夜間頻尿対策の基本です。

控えるべき飲み物・食べ物

以下の飲食物は膀胱を刺激したり、利尿作用で夜間頻尿を悪化させたりするため、夜間は特に注意が必要です。

  • アルコール:利尿作用があるうえ、膀胱の収縮力を乱します。寝酒は夜間頻尿の大きな原因になります
  • カフェイン(コーヒー・緑茶・エナジードリンクなど):利尿作用と膀胱刺激作用の両方があります。午後3時以降は控えるのが理想です
  • 辛い食べ物・柑橘類:膀胱粘膜を刺激し、尿意切迫(急に強い尿意が来る)を誘発することがあります
  • 塩分の多い食事:塩分が多いと体内に水分が蓄積され、夜間に排泄されることで夜間尿量が増えます

排尿習慣の見直し

「尿意がきたら、まだ少ししか溜まっていない段階でトイレへ行く」習慣(頻繁に行きすぎる行動)は、膀胱の「容量」を縮小させ、かえって頻尿を悪化させます。軽い尿意は一定時間我慢してから排尿するトレーニング(膀胱訓練)が有効なケースもあります。ただし、これは無理な我慢を推奨するものではなく、泌尿器科医の指導のもとで行うのが理想です。

また、「残尿が気になって強くいきむ」習慣も避けてください。いきむことで骨盤底筋や膀胱括約筋に負担がかかり、排尿機能がかえって悪化することがあります。排尿が終わったと思ったら、少し間を置いて(20〜30秒)もう一度軽く試みる「二重排尿」が残尿の軽減に役立ちます。

体を冷やすことも頻尿を悪化させます。特に冬場はトイレが寒いと尿意を催しやすいため、温水洗浄便座や暖房を活用して排泄環境を快適に保つことも重要です。

40〜50代の日本人男性が夜の食卓でコップの水を意識的に飲んでいるシーン。夜間頻尿対策の生活習慣を表現

受診のタイミングと診療科

「まだ我慢できる」「歳のせいだから仕方ない」と放置していると、症状は徐々に悪化します。以下のような症状がある場合は、泌尿器科を受診することをおすすめします。

こんな症状があれば泌尿器科へ

  • 夜中に2回以上トイレに起きる(夜間頻尿)
  • 排尿の勢いが弱く、途切れ途切れになる(尿線細小・断続排尿)
  • 排尿後もスッキリしない(残尿感)
  • トイレが間に合わないことがある(尿意切迫・切迫性尿失禁)
  • 排尿を始めるまでに時間がかかる(排尿遅延)
  • 血尿が出た(前立腺がん・膀胱がんの可能性があるため、必ず受診してください)
急に排尿できなくなったら救急受診 急性尿閉(まったく排尿できなくなった状態)は緊急です。腹部の強い痛みや張りを伴うことが多く、放置すると腎機能に影響します。すぐに救急外来または泌尿器科に連絡してください。

受診時の検査の流れ

泌尿器科を初めて受診すると、まず症状の聞き取りとIPSSスコア質問票の記入から始まります。その後、以下の検査が行われるのが一般的です。

  • 尿検査:尿路感染症・血尿・腎機能の状態を確認
  • 腹部超音波(エコー)検査:前立腺の大きさの確認と排尿後の残尿量の測定
  • 尿流量測定:専用トイレで実際に排尿し、排尿の勢い(最大尿流量)を測定
  • PSA検査(血液検査):前立腺がんの除外診断。40代以降の男性には特に推奨

これらの検査は外来で当日中に終わることがほとんどです。検査の痛みや苦痛は少なく、受診へのハードルは思っているより低いはずです。「泌尿器科は恥ずかしい」という気持ちがあるかもしれませんが、同世代の男性が多く受診している専門科ですので、気軽に相談できる環境が整っています。

よくある質問(FAQ)

Q 前立腺肥大症の薬はいつまで飲み続ける必要がありますか?

A.前立腺肥大症は基本的に慢性の病気であるため、症状が改善しても薬を継続するケースが多いです。特に5α還元酵素阻害薬(アボルブなど)は中断すると前立腺が再び肥大します。α1遮断薬も中断で症状が戻ることがあります。どの薬をいつまで続けるかは担当医と相談しながら決めてください。副作用が気になる場合や生活状況が変わった場合も、まず泌尿器科に相談することが大切です。

Q 前立腺肥大症の薬は市販されていますか?

A.α1遮断薬・5α還元酵素阻害薬・タダラフィルはすべて処方薬です。市販薬では購入できないため、泌尿器科または内科の受診が必要です。市販のサプリメント(ノコギリヤシ・カボチャ種子エキスなど)は補助的な期待で使われることもありますが、処方薬のような確実なエビデンスは乏しく、症状が重い場合は医療機関での診察を優先してください。

Q 前立腺肥大症の薬を飲んでいますがEDの症状も出てきました。関係がありますか?

A.5α還元酵素阻害薬(アボルブなど)の副作用として、性欲低下・ED・射精量の減少が1〜3%程度に報告されています。また、α1遮断薬(特にシロドシン)では逆行性射精が起こることがあります。一方、タダラフィル(ザルティア)はEDと前立腺肥大の両方に効果があるため、ED合併の方にとって有利な選択肢です。薬の影響が気になる場合は自己判断でやめず、泌尿器科医に相談して薬を調整してもらいましょう。

Q 前立腺肥大症は放っておくとどうなりますか?

A.軽症の段階は経過観察でも問題ありませんが、放置していると症状が悪化し、急性尿閉(完全に排尿できなくなる)・膀胱結石・水腎症(腎機能が低下する)などの合併症が起こるリスクがあります。これらは緊急処置や手術が必要になるケースもあり、早期治療を開始したほうがはるかに選択肢が多く、身体への負担も少なくて済みます。「まだ我慢できる」と感じている段階で一度泌尿器科に相談することをおすすめします。

Q 前立腺肥大症の手術は痛いですか?入院はどのくらいかかりますか?

A.現在主流の手術は、腹部を切らずに尿道から内視鏡を入れる低侵襲手術(TURPやHoLEPなど)です。全身麻酔または腰椎麻酔のもとで行うため、手術中の痛みは基本的にありません。術後は数日間カテーテルを留置するため違和感はありますが、痛み止めで管理できます。入院期間はTURPで5〜7日、レーザー手術では2〜3日程度が目安ですが、施設や前立腺の大きさによって異なります。退院後も徐々に回復していく経過をたどるのが一般的です。

まとめ:前立腺肥大症は薬で対処できる病気。早めの受診が鍵

前立腺肥大症は加齢とともに多くの男性に起こる病気ですが、「年のせいだから仕方ない」とあきらめる必要はありません。症状の程度に合わせて、経過観察・薬物療法・手術療法を選択でき、多くの方が薬で症状をコントロールしながら日常生活を送っています。

  • 薬物療法の基本:α1遮断薬で尿道をゆるめ(即効性あり)、5α還元酵素阻害薬で前立腺を縮小(3〜6ヶ月)。ED合併ならタダラフィルも選択肢
  • 副作用の把握:立ちくらみ(α1遮断薬)・性機能への影響(5α還元酵素阻害薬)を知っておき、気になる症状は主治医に早めに相談
  • 手術の適応:急性尿閉・膀胱結石・腎機能低下など重症化したとき、または半年以上薬が効かない場合。腹部を切らない低侵襲手術が主流
  • 生活習慣の改善:就寝2〜3時間前から水分を控え、アルコール・カフェインを夕方以降に避けるだけで夜間頻尿が改善しやすい

排尿の悩みは深夜の睡眠を奪い、外出・仕事のパフォーマンスにも影響します。「泌尿器科は恥ずかしい」という気持ちは理解できますが、40〜50代男性が最も多く受診する科のひとつです。気になる症状があれば、ぜひ早めに泌尿器科を受診して、自分に合った治療を見つけてください。