足の指の間の皮がむけている。かかとがガサガサしている。でも、かゆくない——だから水虫ではないだろう。そう考えて放置している方が、この年代には多くいます。
その前提が違います。かゆみは、水虫かどうかの判断材料になりません。
そしてもう1つ。足の皮がむけていても、水虫でないことが珍しくありません。見た目がよく似た別のものがいくつもあり、それぞれ対処が違います。水虫の薬を塗っても変わらないどころか、かえって悪くなるものさえあります。
この記事は、「自分のはどれなのか」を切り分けるところから始めます。
かゆくないから水虫ではない、は成り立ちません
まず、いちばん多い誤解を外します。水虫でかゆみが出るのは、一部のタイプだけです。
かゆみは、白癬菌そのものが起こすというより、菌に対する体の反応として出ます。反応の出方には個人差があり、何年も感染していながら一度もかゆくならない方がいます。
とくに、この年代の男性に多いかかとが硬くなるタイプは、ほとんどかゆくなりません。だから「乾燥だろう」「年のせいだろう」と解釈され、何年も気づかれないまま続きます。
・どこの皮がむけているか——指の間か、土踏まずか、かかと全体か
・左右で違いがあるか——水虫は片足から始まることが多く、左右差が出やすい
・爪が濁っていないか——爪に来ていれば、ほぼ水虫と考えてよい
この3つのほうが、かゆいかどうかよりはるかに役に立ちます。
日本での調査では、足白癬(足の水虫)はおよそ5人に1人、爪白癬(爪の水虫)はおよそ10人に1人にみられるとされています。特別な病気ではありません。不潔だからなるものでもなく、家族の誰かが持っていれば、日常生活のなかで自然にうつります。
恥ずかしさから受診が遅れるケースが多いのですが、皮膚科にとっては最もありふれた相談の1つです。
4つのタイプ——むける場所で分かれます
足の水虫には、見た目のまったく違う4つのタイプがあります。どれに当てはまるかで、市販薬が使えるかどうかも変わります。
| タイプ | どこに、どう出るか | かゆみ |
|---|---|---|
| ①指の間(趾間型) | 足の指の間、とくに薬指と小指の間。皮がふやけて白くなる・むける・赤くなる | 出やすい |
| ②小さな水ぶくれ(小水疱型) | 土踏まず・足の縁・指の付け根。小さな水ぶくれが集まり、あとで皮がむける | 強く出ることが多い |
| ③かかとが厚くなる(角質増殖型) | かかと〜足の裏全体が硬く厚くなり、粉をふいたようにむける。ひび割れることも | ほとんどない |
| ④爪(爪白癬) | 爪が白く濁る・黄色くなる・厚くなる・もろく崩れる | ない |
この年代の男性で見落とされやすいのが③と④です。
③はかゆくないうえ、見た目が「かかとの乾燥」とほぼ同じです。市販の保湿クリームを塗っても一時的にしかよくならず、何年も続きます。冬だけでなく一年中ある・片足だけ目立つなら、乾燥ではない可能性を考えてください。
④は放っておくと足の水虫を繰り返す原因そのものになります。爪に菌が残っている限り、皮膚のほうを治しても、そこからまた広がるためです。「足の水虫が治らない」と言う方の爪を見ると濁っている——これは非常によくあるパターンです。
③は角質が厚いぶん、塗り薬が奥まで届きません。角質をやわらかくする処置と組み合わせる必要があります。
④は爪という硬い板の下に菌がいるため、ふつうの塗り薬はほとんど届きません。飲み薬か、爪専用の外用薬が必要になります。
この2つに当てはまるなら、市販薬を試す前に皮膚科へ行くほうが、結果的に早く・安く済みます。
水虫ではないものが、かなり混ざっています
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点の1つです。足の皮がむける・水ぶくれができるという訴えのうち、水虫ではないものが相当な割合を占めます。
皮膚科で顕微鏡の検査をすると、本人も医師も水虫だと思っていたのに菌が見つからない——ということが日常的に起こります。だからこそ、検査をしてから薬を決めるという順番に意味があります。
| 紛らわしいもの | 見分ける手がかり |
|---|---|
| 汗疱(異汗性湿疹) | 左右対称に出る。手のひらにも同時に出ることが多い。春から夏に悪化し、秋に軽くなる |
| 接触皮膚炎(かぶれ) | 新しい靴・サンダル・靴下に変えた時期と一致する。当たっている場所の形に沿って出る |
| かかとの乾燥・角化 | 両足とも同じ程度。冬に悪化し、保湿でよくなる |
| 掌蹠膿疱症 | 膿を持った小さなぶつぶつが繰り返し出る。手のひらにも。喫煙者に多い |
| あせも・靴ずれ | 時期と場所がはっきりしている |
いちばん有効な手がかりは「左右対称かどうか」です。
水虫は感染症なので、片足から始まって、しばらく左右差が残ります。一方、汗疱やかぶれは体質や外からの刺激による反応なので、両足に同じように出やすい。もちろん例外はありますが、判断の出発点としては強い材料です。
2つめの手がかりは手にも出ているか。水虫が手に出ることもありますが、その場合ほとんどは片手だけです(足は両足でも、手は片手——これを「両足片手病変」と呼びます)。両手のひらに左右対称に出ているなら、汗疱や掌蹠膿疱症を先に考えます。
逆に、湿疹だと思ってステロイドの塗り薬を水虫に塗ると、菌がかえって広がります。ステロイドは炎症を抑えるかわりに、その場の免疫の働きも抑えるためです。
どちらの誤りも、最初に検査をしていれば起きません。
30秒でできるセルフチェック
受診の前に、自分がどちら寄りかを整理しておきましょう。風呂上がりに、足の裏・指の間・爪を明るいところで見てください。
| 確認すること | 水虫寄り | |
|---|---|---|
| ① | 左右で違いがあるか | 片足だけ/片足のほうがひどい |
| ② | 爪が濁っている・厚い・もろい | ある(1本でも) |
| ③ | 薬指と小指の間がふやけて白い | ある |
| ④ | 一年中ある(冬だけではない) | 一年中ある |
| ⑤ | 手のひらは | 出ていない、または片手だけ |
| ⑥ | 保湿クリームへの反応 | 塗ってもあまり変わらない |
読み方はこうです。
- ②が当てはまる:それだけで水虫の可能性が高くなります。爪の濁りは、乾燥や汗疱では起こりません
- ①③④が揃う:典型的なパターンです。皮膚科へ
- ①が「左右対称」で、⑤が「両手にも出ている」:汗疱や湿疹の可能性が高くなります。水虫の薬は塗らないでください
- ④が「冬だけ」で⑥が「保湿でよくなる」:乾燥のほうを先に考えます
とくに①の左右差と②の爪は、本人にしか分からない情報です。医師はその日の足しか見られませんが、あなたは何年分かの経過を知っています。
市販薬を塗る前に、これだけは知っておいてください
薬局で水虫の薬を買う前に、知っておくと得をすることがあります。
薬が菌を弱らせるため、感染しているのに「陰性」と出てしまうのです。
その場合、1〜2週間は薬をやめて、菌が戻ってきてから再検査という流れになります。つまり診断が2週間遅れます。
これが「市販薬を塗る前に受診したほうが早い」と言われる理由です。受診を先にすれば、その日のうちに検査ができて、その日のうちに合った薬が出ます。
すでに市販薬を塗っている方も、責める話ではありません。受診のときに「市販薬を◯週間塗っています」と伝えてください。それだけで、医師は検査結果の読み方を変えられます。伝えないと、陰性の結果をそのまま受け取ってしまいます。
「一発で治す方法」を探している方へ
正直にお伝えします。1回で終わらせる方法はありません。この病気の性質上、原理的に無理があります。
理由は皮膚の構造にあります。白癬菌は皮膚のいちばん外側の層(角質層)の中にいます。この層は下から新しく作られて、古いものが押し出されていくことで入れ替わります。足の裏でこの入れ替わりにかかる時間が、およそ1〜3か月です。
つまり「菌がいる層そのものが入れ替わりきるまで、薬を続ける必要がある」ということです。見た目がきれいになるのは早くても、そこでやめると、まだ残っている層から再び広がります。
毎年夏になると再発する、という方の多くがここでやめています。再発ではなく、治りきっていなかったということです。
民間の方法についても触れておきます。ドライヤーで乾かす、酢につける、熱いお湯につける——これらで菌がいなくなることは期待できません。それどころか、熱や酢で皮膚を傷めると、そこから細菌が入って別の問題が起きます。とくに糖尿病がある方は、足に傷を作ること自体が危険です。絶対に避けてください。
ただし「乾かす」こと自体には意味があります。菌を殺すためではなく、増えにくい環境をつくるためです。これは治療の補助として有効です。
検査は数分で終わります
「わざわざ皮膚科に行くほどか」と迷う方のために、実際に何をするのかを書いておきます。
行われるのは直接鏡検という検査です。むけかけた皮膚のふちを少しだけ削って、顕微鏡で白癬菌がいるかどうかを直接見ます。
| 実際のところ | |
|---|---|
| 痛み | ほとんどありません。削るのは、もともとむけかけている角質の部分です |
| 時間 | その場で数分。後日連絡ではなく、診察中に結果が分かります |
| 費用 | 3割負担で初診+検査で1,500〜2,500円程度(薬代は別) |
| 準備 | 受診前に薬を塗らない。当日の朝、足を強く洗いすぎないほうがよい |
この検査で分かるのは「白癬菌がいるかどうか」です。いれば水虫、いなければ別のものとして、そこから原因を探します。この一手間で、間違った薬を何か月も塗り続ける事態を避けられます。
爪の場合は、爪を少し削って同じように調べます。爪は結果が出にくいことがあるため、複数回調べることもあります。
持っていくとよいもの:①いま履いている靴(の写真でも可)②使った市販薬のパッケージ③いつからか、片足からか、爪はどうかのメモ。
とくに②は、成分が分かることで次の薬を選びやすくなります。
爪に来ていたら、別の話になります
爪水虫(爪白癬)は、足の水虫と同じ菌による同じ病気ですが、対処はまったく別になります。理由は単純で、爪という硬い板が薬の通り道をふさいでいるからです。
市販の水虫薬を爪に塗り続けても、成分が菌のいるところまで届きません。「何年も塗っているのに変わらない」というのは、効き目の問題ではなく届いていないということです。
| 飲み薬 | 爪専用の塗り薬 | |
|---|---|---|
| 届き方 | 血液を通って爪の根元から届く | 爪に浸透するよう作られている |
| 期間の目安 | 3〜6か月程度 | 1年前後 |
| 注意点 | 飲む前と途中に肝機能の血液検査が必要。飲み合わせの確認も | 時間はかかるが体への負担は小さい |
| 向いている人 | 範囲が広い・早く進めたい | 他の薬を多く飲んでいる・肝臓に不安がある |
どちらを選ぶかは、いま飲んでいる薬と、肝臓の状態しだいです。高血圧やコレステロールの薬を飲んでいる方は、その一覧を持って受診してください(お薬手帳が確実です)。
そして期間について、あらかじめ知っておいてください。爪水虫は、爪が生え変わるのを待つ必要があります。足の親指の爪が根元から先端まで入れ替わるのに1年から1年半かかります。薬を飲み終わっても、見た目がきれいになるのはさらに先です。これは薬が効いていないのではなく、そういう時間軸の話です。
飲み薬は肝臓への負担と飲み合わせの確認が必要な薬です。だからこそ、始める前に検査で確認する意味があります。
市販薬を使うなら、この4点を守ってください
受診がすぐには難しい場合や、以前に診断がついていて再発した場合には、市販薬という選択もあります。使うなら、効き目を左右する4点を押さえてください。
| やり方 | 理由 | |
|---|---|---|
| ①塗る範囲 | 症状のある場所だけでなく、足の裏全体と指の間すべてに塗る | 見た目に出ていない場所にも菌が広がっている |
| ②塗る回数 | 1日1回でよい。多く塗っても早くならない | 成分は皮膚にとどまって働く |
| ③塗るタイミング | 入浴後。足が乾いてから | 角質がやわらかくなっていて浸透しやすい |
| ④続ける期間 | 症状が消えてから、さらに最低1か月 | 角質が入れ替わるまで菌が残る |
とくに①が守られていないことが多いです。指の間だけがむけていても、菌はすでに足の裏全体に広がっているのがふつうです。狭い範囲だけに塗ると、残った場所からまた広がります。「足の裏全体に塗る」を最初から習慣にしてください。
剤形も選べます。じゅくじゅくしている・皮がふやけているならクリームや軟膏、乾いていて広範囲ならローションやスプレーが塗りやすくなります。液体タイプは、ひび割れや傷があるとしみるので避けてください。
・2週間塗っても、まったく変化がない
・塗ってから赤みやかゆみが強くなった(薬でかぶれている可能性)
・じゅくじゅくして、においや痛み、熱を持ってきた(細菌の感染が加わっている可能性)
・爪が濁っている・厚くなっている
・糖尿病がある——この場合は、自己判断で市販薬を使わず、最初から受診してください
最後の項目について補足します。糖尿病がある方にとって、足のトラブルは別の重さを持ちます。血糖が高い状態が続くと、傷が治りにくく、感染も広がりやすくなります。水虫でできた小さなひび割れが、細菌の入り口になることがあります。健診で血糖を指摘されている方は、足の皮むけを軽く見ないでください(糖尿病の合併症)。
なぜ、この年代で増えるのか
足白癬は若い人にもありますが、年代が上がるほど頻度が上がります。とくに爪水虫は、40代以降ではっきり増えます。理由は3つあります。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| ①持っている年数が長い | 感染してから年数がたつほど、爪まで進む。20代で足に付いた菌が、40代で爪に達しているという流れ |
| ②革靴の年数 | 1日8時間以上、通気性の悪い靴を履く生活を20年続けてきた——この年代の男性に共通する条件 |
| ③爪の伸びが遅くなる | 爪が伸びる速さは加齢とともに落ちる。菌のいる部分が押し出されるのに時間がかかる |
③はあまり知られていませんが、重要です。爪は伸びることで、菌のいる古い部分を先端へ押し出していきます。その速度が落ちるということは、菌が居座る時間が長くなるということです。爪水虫の治療に時間がかかる理由も、ここにあります。
そして、この3つはいずれも「不潔だから」とは無関係です。毎日入浴していても、条件が揃えば起こります。
治療と並行してこれをやらないと、薬をやめたあとに同じことが起きます。薬は菌を減らしますが、増えやすい環境そのものは薬では変わりません。
家族にうつさないために
「家族にうつさないか」を気にする方が多いので、仕組みから説明します。
白癬菌は、はがれ落ちた皮膚(あか)に混じって床やマットに落ちます。それを他の人が踏むことで足の裏に付着します。ただし、付いただけではうつりません。
逆に言えば、毎日足を洗って、指の間まで乾かしていれば、家庭内でうつる可能性はかなり下げられます。神経質に消毒して回る必要はありません。
そのうえで、実際に効果のある対策を挙げます。
- バスマットを分ける、またはこまめに洗う——家庭内でいちばん菌が集まる場所です
- スリッパを共用しない
- 掃除機をこまめにかける——床に落ちた角質を減らすのが目的です
- 毎日、指の間まで洗って乾かす——石けんの泡でなでるように。ゴシゴシ洗うと傷ができて逆効果です
- 家族に爪の濁っている人がいたら、その人も受診を——供給源が残っていると、家庭内で回り続けます
最後の項目が実は重要です。本人だけ治しても、同居している誰かが持っていれば、また同じことになります。言いにくい話ではありますが、家族単位で1回片づけるほうが、結果的に全員が楽になります。
再発させないための、日常の3つ
治療が終わったあと、あるいは治療中に並行してやることです。菌は「蒸れて、温かくて、湿っている」ところで増えます。この3つを崩すのが基本です。
- 靴を1日おきに替える:いちばん効果があります。1日履いた靴は、内部が乾くまでに丸1日以上かかります。2〜3足を回してください
- 職場で靴を脱ぐ時間をつくる:デスクでサンダルに履き替えるだけで、足の中の環境が変わります。1日8時間以上革靴を履き続けるのが、この年代でいちばん多いリスク要因です
- 靴下は綿か、吸湿性のあるものを:5本指の靴下は、指の間の蒸れを減らすのに向いています
あわせて、ジムや温泉、ゴルフ場の浴場のあとは、足を洗って乾かすことを習慣にしてください。菌が付くこと自体は避けられませんが、24時間そのままにしなければ、感染までは進みにくくなります。
足がいつも蒸れる、汗が多いという方は、その体質のほうに対処するのも有効です。制汗剤を足に使う、中敷きを吸湿性のものにするといった方法があります。
よくある質問(FAQ)
Q かかとがガサガサなだけです。乾燥と水虫、どう見分けますか?
A.手がかりは3つあります。①季節——乾燥は冬に悪化して夏に軽くなりますが、水虫は一年中続きます。②左右差——乾燥は両足とも同じ程度、水虫は片足だけ目立つことがあります。③保湿への反応——乾燥ならクリームでよくなりますが、水虫は塗っても一時的にしか変わりません。
そして決め手が爪です。かかとが硬くて、同じ足の爪が濁っているなら、水虫の可能性がかなり高くなります。この組み合わせは典型的です。
ただしこの2つは同時に起きていることもあります。迷ったら、顕微鏡で見てもらうのがいちばん確実です。
Q 手にも水虫はできますか?両手の皮がむけています。
A.手にもできますが、その場合ほとんどが片手だけです。「足は両足、手は片手」という出方が典型で、これを両足片手病変と呼びます。
したがって両手のひらが左右対称にむけているなら、水虫より汗疱(異汗性湿疹)や手湿疹を先に考えます。とくに春から夏にかけて悪化し、小さな水ぶくれが出るなら汗疱の可能性が高くなります。
この場合、水虫の薬を塗ると悪化することがあります。成分そのものがかぶれの原因になりうるためです。自己判断で塗らず、一度見てもらってください。
Q じゅくじゅくして、においも出てきました。市販薬でよいですか?
A.受診してください。じゅくじゅくして、においや痛み、赤い腫れ、熱を持っているなら、水虫に加えて細菌の感染が起きている可能性があります。
この状態に水虫の薬だけを塗っても届きません。必要なのは、まず細菌のほうへの対応です。順番を間違えると長引きます。
とくに足がむくむ・赤みが足首のほうへ広がる・熱が出たという場合は、その日のうちに受診してください。皮膚の下に感染が広がる蜂窩織炎という状態があり、放置すべきものではありません。糖尿病がある方はとくに急いでください。
Q 症状が消えました。もう薬をやめてよいですか?
A.まだです。ここでやめるのが、いちばん多い失敗です。
見た目がきれいになるのは通常2〜4週間ですが、そのとき菌はまだ角質の奥に残っています。足の裏の角質が全部入れ替わるのに1〜3か月かかるため、症状が消えてからさらに最低1か月、できれば3か月続けるのが基本です。
「毎年夏になると再発する」という方の多くは、再発ではなく、毎年治りきっていなかったというのが実際のところです。
やめどきを自分で決めず、受診しているなら、もう一度顕微鏡で見てもらってから終了するのが確実です。
Q 爪水虫は放っておくとどうなりますか?痛くはないのですが。
A.痛みがないので後回しにされがちですが、放置には3つの不利があります。
①足の水虫を繰り返す供給源になります。爪に菌が残っている限り、皮膚を治してもそこから広がります。
②爪が厚く変形して、靴が当たって痛むようになります。変形が進むと爪切りも難しくなります。
③家族にうつす元になります。
加えて、糖尿病がある方では、厚くなった爪が周りの皮膚を傷つけ、そこから感染が広がる入り口になりえます。
時間はかかりますが、いま始めれば1年後には違う状態になっています。先延ばしにするほど、始めたときの期間は変わらないまま、終わる時期だけが遠のきます。
Q ジムや温泉によく行きます。行くたびにうつっていませんか?
A.菌が足に付くこと自体は、避けられません。不特定多数が裸足で歩く場所には、はがれ落ちた角質に混じって菌がいます。
ただし付いただけでは感染しません。感染が成立するには24時間ほど付いたまま留まる必要があるとされ、しかも皮膚に傷や蒸れがあると入りやすくなります。
したがって対策は単純です——帰宅後に足を洗って、指の間まで乾かす。これだけで大きく違います。施設を避ける必要はありません。
むしろ注意したいのはその後の靴です。運動して汗をかいた足を、そのまま蒸れた靴に入れて何時間も過ごすほうが、条件としては不利になります。
まとめ:かゆみではなく、場所と左右差と爪で見ます
足の皮がむけているとき、多くの方が「かゆくないから水虫ではない」と考えます。その前提が、いちばん最初の間違いです。そして逆に、水虫だと思い込んで市販薬を塗り続けているものが、実は別のものだったということも同じくらい起こります。
- かゆみは判断材料にならない:かかとが厚くなるタイプと爪のタイプは、ほとんどかゆくならない
- 見るのは場所・左右差・爪:水虫は感染症なので片足から始まり左右差が出る。左右対称なら汗疱やかぶれを先に考える
- 市販薬を塗る前に受診したほうが早い:塗ったあとだと検査で菌が見つからず、診断が2週間遅れることがある
- 検査は数分・痛みもほぼない:むけかけた角質を少し削って顕微鏡で見るだけ。その場で結果が出る
- 症状が消えてから、さらに1〜3か月:角質が入れ替わるまで菌は残る。ここでやめるのが再発の最大の原因
そして、爪が濁っているなら話は変わります。塗り薬は爪の下まで届きません。足の水虫を毎年繰り返している方は、まず自分の爪を見てください。そこが供給源になっていることが、実によくあります。
最後に。これは不潔だからなる病気ではありません。日本人のおよそ5人に1人が持っているとされる、ごくありふれたものです。恥ずかしさで受診が遅れて、何年も市販薬を塗り続けるほうが、はるかに大きな損失になります。顕微鏡で数分見てもらうだけで、方向が決まります。